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生活空間と情報の広がりから、逆に幸福感は身近な生活へ傾倒していく

幸福感からみる現代人の生活観 【2002生活者の幸福感 平均は69点】

 Canvassでは3年前よりストレスに充ちた現代と直面する生活者の姿を探求してきた。過去二回の調査結果から、一次集団(身近な人間関係)を中心とした生活満足感の構造があることが判っている。そして、その生活満足感が人々の幸福感を規定するというモデルを作成してきた。
Canvass2002では幸福感の構成要因を数的に把握することを企図した調査を行なった。

不況下とはいえ、物的には概ね満足している現在、基本的には幸福を基点としたライフスタイル提案や生活充実消費を中心に消費が動いている傾向にある。それ故、生活の中心にある幸福感の捉え方/幸福を基点にどのような生活の姿を創りだしていくか、といったことが極めて重要になると考えられる。

幸福感の希求のために活動する現代の生活者の姿を、幸福の基点となっている一次集団(個と周辺)に焦点をあててCanvass2002の調査結果からまとめた。


幸せの形イラスト
 幸福の中心にあるもの 

バブル期に、旺盛な消費活動を経験した人々は、現在の不況下で何に生活の安穏を見出しているのであろうか。

経済未充足(限られた原資)の状況下では物的充足による満足感・幸福感は限られたものとなってくる。デフレの進行が辛うじて生活者の物的充足を充たす要因となっている。自ずから生活者の幸福感における精神的充足のウエイトが高まっていくことになる。

これについては、第1回のCANVASS2000、第2回のCANVASS2001の報告書で連続して主要なfact findingsとして取り上げられていることであるが、共分散構造分析による因果モデルの結果から次のようなことがわかっている。

それは、人々にとっての一次集団(家族を中心として、恋人、親しい友人など)との人間関係における生活満足感が生活全体の満足感を規定する中心的要因であり、さらに、その生活満足感が人々の「幸せ感」を規定する、ということであった。 これらの感情が人々の生き方全体にさまざまな影響を及ぼすことになるのは昨年および1昨年に行った共分散構造分析モデルの示すとおりである。

一方、「物の豊かな生活」、「心の豊かな生活」、「人の豊かな生活(家族・友人・知人にめぐまれた生活)」について、2項目ずつの対でどちらの方を重視するか、という質問に対しては圧倒的に「心」「人」の豊かな生活を重視するという回答を得ることが出来た。

これら昨年までの研究結果にくわえ、生活領域における満足度と幸福感の関係において、幸福感を規定する要因を抽出しようと試みた結果、手法や集団の差違にかかわらず、ウエイト(偏相関係数)の大きい変数として共通に現れたのが「家庭」の満足度、「恋愛・結婚」の満足度、「経済的ゆとり」/「お金」の満足度の3つの要因であった。

中でも「一次集団との人間関係」を中心とした満足感が最も強い影響を及ぼしていることが明らかになり、過去の研究・分析の結果が裏付けられたといえる。


 幸福感の平均点 

今回の調査では、生活者の感じる幸福感の平均点は69点となっており、多くの生活者がまだまだ十分に幸福であると感じていない現状が明らかになった。

幸福の起点として「一次集団との関係」や「経済的問題」が重要視されていることからも、現在の不況が生活者の幸福感の充足を妨げる一因であることは否定できない。
しかし、バブル期を経て、時代の潮流は「物質的満足から精神的幸福」へと変化してきている。(※1)
ヒトとココロの豊かさが幸福感の中心となっていることを考えると、経済的ゆとりや金銭だけではない、本質価値の充足が解決されない限りは真の幸福感は得られないだろうということも予想される。

消費行動を考える上でも、機能的な満足感だけを捉えるのでは十分ではなくなってきており、消費や使用によって結果的に家族や友人、配偶者との関係にどのような影響を及ぼすのか、という視点も相変わらず重要であるといえる。

一次集団との関係、ヒトとココロの問題にまつわる不満点、非充足点を洗い出し、分野ごとに一つ一つクリアにしていくことがマーケティング上の大きな課題解決=生活者の幸福充足へとつながっていくのではないだろうか?
円グラフ
※1 このような物質的な充足から心理的充足へとの価値観の変化は、すでにかなり以前から知られている。1970年の前半から中頃のフィールドにおいて西欧先進工業国の人々の価値観の変化を「物質主義(materialism)から脱物質主義(postmaterialism)」と捉えたR.Inglehartの『静かなる革命』などはその典型例である。

【まとめ】

以上のように、情報化・ネットワーク化が急速に進行する現在の社会環境化において、生活者自体のあり方も急速に変化している、と考えられる。
情報化、ネットワーク化は生活者の幸福の基点→即ち、一次集団との関係を大きく変える側面を持っているため、新しいシステム(仕組み)に適応できるかどうかによって大きな差が生まれてくるのである。
また、急速な変化を進める中で、本当に生活者にとってプラスになるのか、をもう一度考え直す必要も出てくるのかもしれない。
世の中自体が効率化・高速化している、という生活者の印象はどちらかというとネガティブな側面を含んでいることを忘れずに、真に生活者の幸福に貢献することを考えていくべきではないだろうか。
幸せの形イラスト

レポート予告
〜 数字でみる2002年 Canvass2002より 〜

 →平均点69点、主婦は75点
 →幸福感と家族行動
 →ストレス急増・ミドル男性 ...etc


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