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発想力を刺激する YOMIKO TREND REPORT

ジュネーブモーターショー訪問記

稲野 智久 MD局 第2MDルーム プランニングディレクター

※執筆者の所属部署・役職名は執筆当時のものです。

サンピエール大聖堂

今回、わたくしが出張で赴きましたジュネーブはレマン湖のほとりにあるスイス第2の都市です。かつては国際連盟の本部が置かれるなど国際政治の中心地でした。日本にとっても因縁浅からぬ土地で、今からおよそ80年前、国際連盟による満州事変の調査、いわゆるリットン調査団の調査報告を不服とした日本全権団代表、松岡洋右が檀上で国際連盟脱退を表明、満座の会場を後にしました。程なく、日本は国際連盟を脱退、ドイツ、イタリアとの三国同盟を結び、太平洋戦争へと突入していきます。

さて、このたびわたくしがかの地へ赴きました目的はジュネーブで開催されたモーターショーの視察です。ジュネーブモーターショーは、デトロイト、フランクフルト、パリ等と並んで主要な国際モーターショーの一つとして位置づけられ、世界中の自動車メーカーがこぞって参加します。近年の環境への意識の高まりからか、多くのメーカーがエコカーを展示していました。多くのメーカーがコンセプトカーの展示にとどまる中、日本メーカーは市場に導入された電気自動車やハイブリッド車を展示しているのを見ると、日本はまだまだ世界の自動車産業を牽引しているという印象を受けました。

ひとつ驚いたのはフォルクスワーゲンが環境団体のグリーンピースパフォーマンスをしていたことです。グリーンピースの人たちとフォルクスワーゲンの人たちがプラカードをもってデモみたいなことをやっていました。中にはフォルクスワーゲンのロゴを逆さにしたシートを手にした人もいました。フォルクスワーゲンの環境へのコミットメントの表明が主旨ですが、こういうパフォーマンスをやってのける欧州メーカーとそれに乗る環境団体の懐の深さ、したたかさには興味深いものがありました。

自動車といえば、ジュネーブは自動車と人がうまく同居している街でした。街の外縁部には車線の多い自動車向けの道路を配し、中心部は路面電車やバスなどの公共の交通機関だけが乗り入れる仕組みになっています。ですので、歩道も広く、通りを渡るのも楽なので街歩きがとても楽しい街でしたね。やはり人を中心に作られた街というのは元気だなと思いました。

また、ジュネーブは人口19万、周辺のエリアを合わせても人口50万程度。それほど大きくない都市圏です。(参考までに日本で人口20万人規模の地方都市といえば、鳥取市や甲府市があります。)鉄道の「駅を中心とした新市街」と「駅から少し離れた旧市街」という構造は日本の地方都市に似ていると感じました。日本の同規模のいくつかの地方都市がやや元気を無くしている状況と比較すると、ジュネーブの街は駅から少し離れた旧市街も含めて非常に栄えている印象でした。

様々な要因があるので一概に比較は出来ませんが、モータリゼーションが進んだ結果で、日本の地方都市の中心部が低迷しているとすると、ジュネーブの街に活性化のヒントがあるかもしれません。