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発想力を刺激する YOMIKO TREND REPORT

2012 Cannes Lions International Festival of Creativityレポート

大谷 義智 Yoshinori Otani クリエイティブ局 シニアクリエイティブディレクター

※執筆者の所属部署・役職名は執筆当時のものです。

世界に数ある、広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバル。その中でも世界最大級の規模を誇るのが「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」です。毎年6月に、1週間にわたってフランスのカンヌで開催されるカンヌライオンズでは、世界中から集まった広告戦略や表現が競い合われ、そこで勝ち抜いたものは、ミライの広告の姿を指し示す羅針盤とも言われています。

会場前に敷かれたレッドカーペット

2005年、プレス&アウトドア部門の日本代表審査員を勤めさせて頂いて以来、長年に渡りこのカンヌライオンズの指し示すミライを見つめてきたのですが、今年は「広告」そのもののあり方が大きく問いただされた年だったと感じています。

昨年、カンヌ広告祭は Cannes International Advertising から International Festival of Creativity と名前を変えました。つまりは「広告/Advertising」の文字が消えてしまった。これはちょっとした驚きでした。

でも、冷静に考えてみればこれは必然的なことで、メディアが多様化する中、いかに生活者に(企業のブランドや商品の)情報を広く伝える「広告」ではなく、生活者と情報をつなげる「創造力」が評価される時代になったということです。つまりは「伝える」機能から「つなげる/体験させる」機能が広告には求められている時代に変化している。

今年新設されたモバイル部門の授賞式

今年はMobile部門 とBranded Content & Entertainment部門 の2つのカテゴリーがさらに加わってすべてで15カテゴリー、また、セミナーやワークショップに加えて、あらたにForum/フォーラムとTech Talk / テックトークが加わり、フェスティバルそのものも、「広告表現を競い賞の獲得を争う場」から、「明日の広告戦略/ビジネスモデルを見つけ出す場」へとすっかり姿を変えてしまいました。

エントリー総数は、87の国から34,301作品、昨年比あたり19%の増加。これら、エントリーの増加の理由は、部門の広がりもさることながら、ブラジル、インド、中国といった新興国の参加があげられます。

今回、日本の作品がグランプリを獲得することはできませんでしたが、驚くべきことは、チタニウム部門45作品中に5作品、日本の作品が選出されたことです。ノミネートされた作品の中3作品は震災後の日本を、現実的にサポートするプロジェクトでした。

数年前であれば、フィルム部門、アウトドア部門、デジタル部門において日本は強く、ユニークなアイディアで「クライアント課題」を解決するものでしたが、今年の傾向としては、いかに「社会的課題」を解決しているかが、あらゆる部門で問われているようでした。

多岐に渡り進化し続けるCannes International Festival of Creativity、「広告」という文字はなくなっても、生活者を動かすアイディアは尽きる事ないことを改めて実感した2012年でした。