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発想力を刺激する YOMIKO TREND REPORT

ad:tech new york レポート

小川 亮 Ryo Ogawa 統合プロモーション局 第3プロモーションルーム iコミュニケーションプランニング プランナー

※執筆者の所属部署・役職名は執筆当時のものです。

ad:tech new yorkについて

ad:techとは全世界8都市で開催される世界最大級のデジタルマーケティングイベントであり、11月7日、8日にニューヨークにおいてad:tech new yorkが開催されました。

イベント開催前週に猛威を振るった「ハリケーン・サンディ」の影響により、直前の11月4日にはニューヨークシティマラソンは中止になったものの、ad:tech new yorkは無事開催の運びとなったものの、マンハッタン南部には水害の影響はまだ残っており、業務を控える企業も多く、結果として来場者はやや少ないように思われました。各カンファレンスの冒頭では募金の案内が必ずされており、米国らしさの一端も感じられました。

“スケール”させること

そんな状況とは裏腹に、米国におけるデジタル広告市場は依然活発であり、日本より1歩も2歩も先んじています。

昨年まで見られたマーケティングとしての大きなキーワード(例えば「ビッグデータ」や「O2O」など)は数あるテーマの一つとして並列に扱われるようになり、“今年初の革新的なアイデア”のようなものはありませんでした。敢えて言うならば、二つのキーワードで米国広告市場を表現出来ると思います。

一つ目は「スケール」。これまで打ち出されたビッグデータやO2Oといったアドテクノロジーを実践し、拡大化させていこう、という気運に満ち溢れており、何度も「スケール」や「マネタイズ」といった言葉が聞かれました。事実として、活況な広告市場を背景として、具体的なツールやプラットフォームを開発するマーケティングテクノロジー系ベンチャー企業への投資も活発に行われており、そのような企業によってブースエリアは賑わっておりました。

真新しいアイデアでは無いものの、これまでに提唱されたマーケティングの概念を実践し、スケール化することで売り上げを出そうとする姿勢は日本より圧倒的に進んでいる観点だと言えます。

広告に求められる“Authenticity”

もう一つのキーワードは「Authenticity」、つまり「本物であること」です。

今日のマーケティングにおいて、モバイルとソーシャルメディアは必要不可欠な要素ですが、消費者側からすれば「いつでも検索したい」、「いつでもシェアしたい」という欲求のハードルが年々高まっていることを考慮しておかなければなりません。いつでも身近にスマートフォンがあって、ソーシャルメディアを経由して多くの情報をリアルタイムで得ることが日常となっている消費者にとって、“Authenticityでない”企業はすぐに見透かされてしまいます。

数値化し、拡大化すること。誠実で信頼できること。どちらも目を引くような真新しいアイデアではありませんが、概念として終わらせず、具体的な投資や組織変更などを行い、積極的に利益を上げて行こうとするアメリカの姿勢を見習うかどうかは、我々日本の広告会社の今後を左右される転換点なのではないかなと思いました。