Report

発想力を刺激する YOMIKO TREND REPORT

日本ショッピングセンター協会「マレーシア・シンガポール視察研修」レポート

城 雄大 Jo Takehiro 都市生活研究所 第1ルーム ルーム長

※執筆者の所属部署・役職名は執筆当時のものです。

2013年2月23日から2月28日まで、一般社団法人 日本ショッピングセンター協会が年に数回開催する海外視察研修ツアーに参加してきました。第122回目となる今回のテーマは「躍進するアジアショッピングセンターと商業事情を探る」としてマレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを視察。成長著しい東南アジアを代表する両国の熱気あふれる商業施設の模様をレポートします。

マレーシア(クアラルンプール)

■「Look The East」(日本から学べ!)政策の影響も見られる巨大ショッピングセンター!

マレーシアは1980年代、マハティール首相の時代から「日本に学べ!」のスローガンのもとに経済を成長させてきた国であり、日本への派遣留学も積極的に行ってきた国。

パヴィリオン外観
Tokyo Street

クアラルンプールの“銀座通り”と言える「ブキビンタン地区」でいま最も話題の『パヴィリオン』というショッピングセンターの最上階には、“Tokyo Street”というゾーンが!日本食レストランやアニメショップ、100円ショップなどが集積したこのゾーンは施設内で最もにぎわっている売り場の一つとなっていた。『パヴィリオン』以外の商業施設にも必ずと言っていいほど日本食レストランが入っており、寿司を中心として行列を作っているお店が多く、最も人気のある飲食テナント・ジャンルとなっていたのが印象的。

商業施設

商業施設

商業施設

■「イオングループ」「伊勢丹」「紀伊国屋書店」など、多くの日本企業がキーテナントに。

日本食レストラン以外でも、商業施設の集客の核を担うキーテナントとして上記のような日本企業が多く進出しているのを、あらためて目の当たりに。

郊外の高級住宅地エリアにイオングループが「マックスバリュー」を展開しており、日本様式(?)のスーパーマーケットとなっている。同社のプライベートブランドである「トップバリュ」のロゴが付いた商品も散見され、日本食材も豊富。日本人でもストレスなく暮らすことができそうな品揃え。ちなみにマレーシアは、「日本人が住みたい国」6年連続ナンバー1なのだそう…。(ロングステイ財団調べ)

マックスバリュー

シンガポール

■国を挙げての国土再開発、進行中!

もともとシンガポールは観光に力を入れた都市整備を行っており、「ガーデンシティ」と言われる美しい街並みを創り上げていた。しかし周辺諸国の経済成長や観光地としての競合激化により、シンガポールの観光産業/収入は頭打ちに…。そんな状況を打開すべく、3代目首相のリー・シェンロン氏がカジノも含めた複合リゾート建設を核とした都市再開発をすすめた、という経緯がある。実はわたくし10数年前にもシンガポールの商業施設を視察しているのだが、その時とは全く別次元ともいえる街/国の印象となっていた。

■なんといっても『マリーナベイ・サンズ』!

55階建て3棟の高層ビルの上に船を置いたような奇抜なデザインのホテルと空中庭園&プールが印象的だが、それだけではなくカジノ、商業施設、コンベンションセンター、ミュージアム、劇場などを有する巨大な複合施設となっており、毎日(!)平均125,000人の観光客でにぎわっている。商業施設については、施設内をゴンドラの行き交う運河や大小さまざまな水盤が配置され、吹き抜けと天窓が多用されたリゾート感あふれる非日常空間となっており、日本ではなかなか見られないお金をかけた贅沢な設計。国内外の一流ブランドから売れ筋ブランドまでが勢ぞろいした、買い物好きには夢のような施設と言えそう。

マリーナベイ・サンズ 模型による全景
模型による全景
マリーナベイ・サンズ 天窓と水盤による明るい商業施設内
天窓と水盤による明るい商業施設内
マリーナベイ・サンズ ゴンドラの浮かぶ運河も!
ゴンドラの浮かぶ運河も!

視察を終えて

両国ともに著しい経済成長や観光客誘致を拡大させているのは政府による強力な政策推進によるところが大きい。その世界中からの観光客が、視察したような商業施設になだれ込んでいる!という状況で、確かに日本の商業施設とは異なる熱気に包まれていた。

とある日系の商業施設デベロッパー&運営会社の方にお話を伺ったところ、「現状ではお金をかけて集客をしなくても、ちゃんとした施設開発と運営をすればお客さんはたくさん来てくれる」とのこと。ただし、そんなマレーシアとシンガポールも商業施設開発は一つの到達点に達しつつあり、今後は競争激化の流れは避けられないであろう。そうなれば、以前から激しい競争環境にある日本での集客戦略/囲い込み戦略などの販促ノウハウが、これらの国でも必要とされる時代も遠くはないと感じた。「プロモーションコンサル」としてのグローバル化も、いよいよ待ったなしの時代に突入すると感じた視察研修であった。