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発想力を刺激する YOMIKO TREND REPORT

第16回アジア太平洋広告祭(ADFEST 2013)参加レポート

田辺 邦彦 Tanabe Kunihiko 統合プロモーション局 関西ソリューションルーム

※執筆者の所属部署・役職名は執筆当時のものです。

第16回アジア太平洋広告祭(アドフェスト2013)は、「Connect the Dots(=点を繋ごう)」をテーマに、3月17日から19日までの3日間、タイのパタヤで開催されました。アジア太平洋地区及び中東から最新の作品が集まるその広告祭に参加できる機会を得て、博報堂DYグループの面々とともに視察をしてきました。パタヤは歓楽街で有名なリゾート地なのですが、会場となるホール及び宿泊したホテルは街から少し離れた丘の上に有り、その敷地内にいるといったい自分がどこの国にいるのかよくわからなくなるような不思議な環境でした。今年のアドフェストは、3507作品のエントリーがあり、世界各国から1146名が参加。今年はサイバー部門が名前を変えてインタラクティブ部門に、同じく360度部門がインテグレート部門となりました。また、新たにモバイル部門とエフェクティブ部門が加わり、全16部門で競われました。

それは広告?

受賞作品で目立っていたのは「社会性」のある作品。消費が何かの役に立つ仕組みや社会問題の解決につながる作品が多く見られました。中には、「スマートフォンを使った救命救急のためのアプリ」や、「広告の役目を終えた後、裏側が貧しい人達の家の一部として使えるように工夫された屋外看板」など、既に広告の枠に収まっていない作品も多数ありました。名前から「広告」が取れたカンヌに代表されるように、広告祭の流れとしてクリエイティブアイデアで課題を解決すること全てが対象となってきているということなのでしょうか。ただ、アドフェストはネーミングから「広告」を取ることは不可能ですよね。

いかに関与させるか

今回のアドフェストで一番気になったキーワードは「参加」。セミナーのテーマにもなっていましたが、投げっぱなしの広告ではなく、そこから人々を巻き込み、大きくしていくためにはどうすればいいか。世の中に流通する情報の量が増えるほど短くなっていく個々の情報のライフタイムを伸ばすためにどうすればいいのか。それが現代の広告における課題となっており、その解の一つが「参加」であると。スマートフォンやSNSなど、新しく広まったインフラのお陰で、技術的にもできることはどんどん拡大していっています。そして実際、うまくメッセージを拡散する仕組みや簡単に参加できるようにする仕組みを創りだした作品が高い評価を受けていました。これからもそのメッセージ・施策によって人々がどのように動くかまでを計算した、受け手の関与が有って初めて完成するような広告がますます増えてくるのだと思います。ただ、残念なことに、注目していたモバイルの部門では賞の該当なしが続出。新しくできた部門でもあり、アジアには既に日本よりもスマホ普及が進んだ国も多い為、参考になる先行事例があるかと思っていたのですが、各国ともまだまだ試行錯誤が続いているという状況なのでしょうか。

広告祭に参加して

一番に感じたのは、参加者たちの熱気。並み居る広告会社の中で自分たちがどれだけの位置に食い込めるか、表彰台に登る気満々で待ち構えているわけです。自分の出品作品も持たずにその場にいる自分が場違いに感じられるほどでした。そして、連日プログラムの最後に用意されるパーティーや、更にその後は街に繰り出して、初対面の同業者たちと広告談義。話をした多くの人が「世の中にインパクトを与える仕事をする」ひいては「広告賞を受賞することで自分と会社の価値を高める」ことを明確に意識していて、非常に刺激を受けました。周囲360度に熱く面白い人達がいて、しかも同じ参加者というだけで色々な垣根を飛び越えて話ができる、これこそが広告祭に参加することの醍醐味だと思います。