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発想力を刺激する YOMIKO TREND REPORT

第17回アジア太平洋広告祭(ADFEST 2014)参加レポート

上原 ひとみ Hitomi Uehara 第2アカウントユニット第6営業局第2部

※執筆者の所属部署・役職名は執筆当時のものです。

 2014年3月6日~8日。夏の日差しがまぶしいタイ パタヤにて、第17回「アジア太平洋広告祭(アドフェスト2014)」が開催されました。

 広告の「祭」にふさわしく、アジア太平洋で注目される広告会社などのセミナー、全17部門に渡る優秀作品の選出、広告業界の有名人ともコミュニケーションがとれるパーティーなど、とにかく広告のことで頭がいっぱいになる3日間。

 国内外問わず、普段なかなか話を聞くことができないクリエイターのセミナーには、若手広告マンたちが真剣な眼差しを向けていたのが印象的。夕刻になるとアワードが発表される会場は、期待と興奮が入り混じって熱を帯びたちょっと異様な雰囲気に。

 アドフェストは、想像していたよりずっと刺激的で、広告という仕事の有り様について、久しぶりに考える機会を与えられました。

アドフェスト会場Pattaya Exhibition and Convention Hall パタヤ・ロイヤルクリフビーチホテル 入口

アドフェスト会場Pattaya Exhibition and Convention Hall
通称PEACH

パタヤ・ロイヤルクリフビーチホテル 入口

雲の上のアドフェストと、半径1メートル以内のアドフェスト。

 まず、印象に残っているのは、日本の作品が多数ロータスを獲得していた点。特に、17部門中、なんと8部門において日本の作品がグランデ(最優秀賞)を受賞していました。日本のあるひとつの作品が、インタラクティブ部門・プロモ部門・インテグレーテッド部門の3部門で、他のとある作品がダイレクト部門・INNOVA部門の2部門で賞を獲得するなど、今年は日本の強さを見せつけた授賞式となり、その後のパーティーでは必ずと言っていいほど日本の作品が話題に上がっていました。ただ、残念だったのは自分にとって授賞式は雲の上の出来事のように感じられたことでした。

 また、セミナーや審査員の対談からは、日々の仕事や未来の広告のヒントを得ることができました。

「メッセージではなく体験をもたらすことで、生活の中でブランドイメージを高めることができる。」(受賞作品に対するコメント)
「ブランド体験を作るためのイノベーションを起こす。」(受賞作品に対するコメント)
「失敗する文化を支援する。」(セミナー「Radical collaboration」より)
「バイラルを起こすためにインセンティブを与えるという視点。」(受賞作品に対するコメント)
「広告という言葉が、汚い言葉になってしまっている。広告の仕事を正当化し、広告によって意味のある遺産を生み出していかなくては。」(セミナー「A better user experience」より)
「寛容であれ。」(セミナー「Welcome to the global wonderlandより)
「冷たい印象のテクノロジーを、詩的でパワフルなイメージにすることができる。」(受賞作品に対するコメント)
「クライアントから。エージェンシーから。どちらからではなく、とにかく最初からコラボを始める。製品レベルで関与する。」(審査員の対談より)

 セミナーだけでなく同世代の広告マンたちと話すことも刺激を受けたことのひとつです。営業の私にとって縁遠く感じられていた広告賞。しかしながら、同世代の広告マンたちは、日々の業務に身を置きながらも、自分のアイデアで真っ向勝負できる環境を自ら築いていました。そのチャレンジングな精神を、彼らと話すことで取り戻せた気がします。

スピログラフをモチーフにしたADFEST2014のモニュメント セミナーや授賞式が行われるメインホール

スピログラフをモチーフにしたADFEST2014のモニュメント

セミナーや授賞式が行われるメインホール

「広告」がいつも新しい存在でいるために。

 アドフェスト2014のテーマは「Co-create the Future」。未来の共創。

広告は、ただ面と面で、向き合ってつくっていくものではなく、クライアント、広告会社、またそれ以外のあらゆる業界とコラボレーションしてつくっていくということ。コラボレーション先は、時にクライアントの技術であり、時に生活者であり、時にエンターテイメントであり、あらゆる可能性がそこにはあるということ。受賞作品や、セミナーでの広告事例を見て、「共に創造」することの無限の可能性を感じることができました。

 今回、アドフェストのモチーフに使われていたのが「スピログラフ」やそれで描かれたような「花模様」だったのですが、まさに「Co-create」な広告の仕事とはこの花模様のようだなと、感じました。

 大きな円の中で、歯車が付いた小さな円をペンでぐるぐると回す。ペンをさす位置によって、2つの円の大きさによって、円を回す回数によって、様々な模様を描くことができます。緻密な模様が描けるとき、大胆でインパクトのある模様が描けるとき、今まで見たことのないような模様が描けるとき、描ける模様は無限にありますが、一度描いた模様をもう一度描こうとするのはなかなか難しい。そして、そもそも描く2つの円の歯車がきっちりあっていないと、模様を描くことすらできないのです。異質な2つがうまくかみ合うことで見たこともない美しく新しいものを作り出す、そんな「Co-create」を表したメッセージを感じました。

自分で突き詰め、考えること。

 今回のアドフェストで最も心に残った言葉。

「全くコラボしないという選択肢もある。種は一人の頭の中にある。」(セミナー「Radical collaboration」より)。

 散々、「Co-create」を叩き込まれたアドフェストですが、この言葉で広告のお祭りに舞い上がっていた自分の足が地に着いた気がしました。広告の未来のヒントはたくさん与えられましたが、アドフェストに訪れたことに意味を与えていくのは、今後の自分がどれだけのことを考えていけるか、そして行動していけるかだということを心に刻むことができました。

アフターパーティーが行われたホテルのプール

アフターパーティーが行われたホテルのプール