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2020.10.30
インターネット広告で「動画」を使うとき、最初の〇秒が肝心!ということがよく言われます。それは情報化社会が進み一人当たりが接触する情報量が増えて、情報の取捨選択に要する時間が生活者の中でどんどん短くなってきているからです。一方で静止画の広告でもわかりやすく言いたいことを一番上に記載するといった等、人の目の動きを理解した設計が必要とされます。実際に、「動画 判断 秒数」で検索するだけで沢山の記事がヒットします。
Twitterの利用者の特徴として自分がつぶやきを発信すること以外に、自分がフォローしている人たちのつぶやきが流れてくる「タイムライン」を閲覧するのが基本となっていきます。ここに全く別情報が入ってきます。それが「広告」です。(他にも○○さんがいいねしました。おすすめのユーザー等あります。)
ここで、ある疑問が浮かびます。それは『Twitterに広告配信がしたい時、情報化で取捨選択が必要となった生活者のタイムラインで目に留まるためには、いったい何秒の猶予が与えられているのか』ということです。タイムラインを理解することはTwitter広告を理解することにつながると考えられます。そこから広告に必要な要素を少しでも意識できれば良いコミュニケーションができるのではないかと考えました。そこで、Twitter広告の理解度を測るために「生活者が1秒当たり、いくつツイートを閲覧しているか」を調査しました。
調査概要
●対象者と計測方法
本研究で検証するデータの収集のために、年齢22~25歳、計26人、Twitter回遊の様子を1~2分程度のスマートホン画面録画素材による計測
●計測内容
①ツイート数
ユーザーがタイムラインで通過したツイートの数
②動画秒数
送られてきた画面録画の秒数
③コンテンツを見ていた秒数
録画素材の中で、スクロールが止まっている秒数
(ユーザーがコンテンツにのめりこんでいる時間)
④ツイート数/分
ツイート数/分=ツイート数/(動画秒数-コンテンツを見ていた秒数)×60秒
⑤下スクロール上スクロール
ユーザーがタイムラインを回遊するときの方向
⑥止まったツイートの特徴
ユーザーの手が止まったツイート内容の傾向
結果をまとめると上記のような表になりました。総計ツイート数は2,234、動画秒数は3,236秒、コンテンツを見ていた秒数は814秒、平均ツイート数/分は55.3。最初に下から上にスクロールする割合が38(%)、上から下にスクロールする割合が62(%)でした。
手が止まったツイートは主に以下に分類ができました。
各人の趣味嗜好
⇒ユーザーにとって興味があることなので、手を止めるのは必然
まとめた系
・画像に細かく内容記載&画像4枚シリーズ(4枚目がオチ)
・自分なりに興味がある分野についてまとめており共感する人が相次ぐ
・ニュース性の高いもの(Yahoo!ニュースなどのアカウントからの発信)
・共感性の高い発見&おもしろ(バズツイート)
傾向の本質は「共感」や「発見」にありそうです。普段から「なんだか引っかかるけど言葉にできないこと」や、「気付かなかったけど言われてみれば、、、」のようなことに対してエンゲージメントが上がっています。
また、Twitterを回遊しているユーザーの心理としては、Twitter内で情報を探ろうとしている、という事が考えられます。そのため、「画像に細かく内容記載&画像4枚シリーズ」例のように一つのツイートの中に情報がまとまっている方が閲覧されやすいと考えられます。広告としてはLPへの遷移を促したくなりますが、それはユーザーの一つの集中力のようなものを切ってしまうのかもしれません。集中して作業をしているのに、急にPCの電源が切れたり、誰かから電話がかかってきたりすると、同じような集中力に戻るのは難しいです。Twitterを回遊しているユーザーも、頭は「Twitterモード」になっていると考えられますので、できるだけひとつのツイートに要点をまとめることが必要です。その場合、フォロワーが多ければ無理に広告を出さず、画像が4枚使えるフォーマットを活用してオーガニック投稿でそのツイート内で情報を完結させることが上手なツイート方法なのかもしれません。そうすることで有益な情報を発信していくのもフォロー&リツイート以外でのフォロワーの獲得につながると考えられます。
当初の疑問として挙げた『Twitterに広告配信がしたい時、情報化で取捨選択が必要となった生活者のタイムラインで目に留まるためには、いったい何秒の猶予が与えられているのか』に対する答えは以下のように求めることができます。
60(秒)/55.3=1.08(秒)
内容にもよりますが、この1.08(秒)を一つの指標としてタイムラインで興味がもたれるようなツイート文章・画像・動画等の選定を行っていくことが必要です。また、上から下にスクロールする割合の方が多い結果となりました。このことから、やはり最初に目につく、ツイート文やアイコン画像、ユーザー名等を意識して、どう興味を引くかが重要だということが分かります。
ツイートの注意点としてはなるべくユーザーがわかりやすいような情報のまとめ方(箇条書き、画像に詳細記載、画像が多いなど)をするのが適切です。
今回調査対象者のTwitterでは、1ツイート=1.08(秒)という圧倒的に短尺でタイムラインが流れていることが分かりました。また、上から下にスクロールする割合の方が多いこともわかりました。(今回の検証はあくまで一結果であり、まだまだ検証の余地がありそうです。)
今回のような20歳代のツイートの挙動を見ていると、同じような挙動をしているところがある一方で、個性的な挙動部分があるところもあり、見ていて非常に勉強になりました。例えば、気になったツイートのコメントを読んで詳細を探るというのは多くの人に当てはまりました。一方で、気になる人のアカウントから、その人がどんなツイートに対していいねをしているかを見る人、他人のいいねから自分のタイムラインに流れてきたツイートを容赦なくブロックする人もいました。
さらに多くのサンプル数を用いて性年代などのセグメントで分けてみても動きに差があるか等、検討の余地はありそうです。また、Twitterでは「誰が」発信しているかというのも重要な点です。そこについては、企業アカウントは名前が広く知られていれば運用上有利になりますし、あまり有名でなくても、ツイートしだい次第では有名になる可能性もあります。Twitterは即時性が高い媒体ですのでSNS運用では、継続的なトライ&エラーでユーザーやフォロワーと向き合うのが重要です。継続的に広告を打つ、資金がない場合はオーガニック投稿の工夫も参考にしていただけますと幸いです。
濵 斉之
デジタル戦略推進部
2019年入社。デジタル広告の基礎知識や仕組みから学び、わかりやすい説明を心がけている。インターネットメディアのプランニングや戦略、実施~出稿後の今後の対策までデジタル広告全般に携わる。ラジオが好きなので、デジタルとラジオの関係について注目している。