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動画制作をより身近にするYOMIKO発のAI動画生成ソリューション「aivon」

2023.08.16

2023年7月13日に発表された「aivon」は、当社とグループ会社の読広クリエイティブスタジオが共同開発したAI動画生成ソリューションです。クライアントのニーズに基づき、2社協力して動画制作をサポートし、企業の動画コミュニケーションに新たな付加価値をもたらすソリューションとして大きな期待が寄せられています。さまざまなAIツールを検証し、構想から開発まで半年以上かけて開発したaivonは、ほかにはない「パーソナライズ動画を実現できる」という強みを持っています。そんなaivonの開発の経緯や特徴、クライアント企業に提示する新たな価値について、本プロジェクトに携わる当社 立田、木村、岡村と、読広クリエイティブスタジオの栗原に聞きました。

コスト・工数という動画制作の2大課題をAIで解決する「aivon」

——昨年末から生成AIが注目されています。当社でも、グループ会社の読広クリエイティブスタジオと共にAI動画生成ソリューション「aivon(アイボン)」を開発・提供を開始しましたが、その経緯や狙いを教えてください。

立田:今、さまざまな企業や組織において「生成AIを業務にどのように活用していくか」という点が大きなテーマになっています。今回発表したaivonは、クリエイティブ制作分野におけるAIソリューションとしてリリースしたもので、特に動画制作領域に特化しています。
クリエイティブ制作にはWebページやパンフレットなどいろいろな分野がありますが、動画制作はそのなかで最もコストと工数がかかります。そこをAIで改善できれば、伸びしろは非常に大きくなります。
今後生成AIはますます進化し、発展していくでしょう。今回私たちはAIと協業しながら動画制作を行うことで、工数を削減し、動画の制作本数の向上を実現しました。そして企業が1人ひとりにパーソナライズされた動画をユーザーに提供できるように支援し、新たなコミュニケーション価値の創出につなげたいと考えています。

木村:クライアント企業の方も、やはり生成AIの動向や活用に強い関心をお持ちです。現在の私たちの取り組み内容についてお話しすると、かなり興味を持ってくださいます。そのため、会社として生成AIにより積極的に取り組んでいく必要性を感じています。
なかでも動画制作分野に切り込んだのは、立田が話したように、工数やコストなどの制約を解消したいと考えたからです。私のチームは普段広告バナーや動画、ランディングページなどデジタル系クリエイティブの制作を行なっているのですが、クライアントのなかには動画に興味があっても「素材もないし、撮影するお金も時間もないから動画はできないんです」とあきらめてしまう方が多くいらっしゃいます。aivonであれば、たとえ素材がなくても撮影しなくても訴求力のある動画が制作できますし、表現の幅も広がるので、クライアント側の選択肢も増えます。
これまでは撮影なし且つ安価に制作する動画の場合、スライドショーをアニメーション風に見せるやり方が主流でした。そうした動画は訴求力よりも説明要素が強く、すでに検討フェーズにいるお客様であれば視聴するかもしれませんが、広く関心を呼ぶには限界があるのも事実です。aivonでは、AIが生成したキャラクターを自由に動かして効果的な動画が制作できるので、単なる説明動画ではなく、目を引きつけるクリエイティブ制作が可能です。

高い成果が期待できるパーソナライズ動画の制作が容易に

——改めてaivonがどのようなサービスなのか、ほかのAI動画生成サービスと比べてどのような特長があるのか教えてください。

立田:動画制作に必要な業務である「トークスクリプト作成」や「構成要素の作成」「ナレーション収録」「BGM生成」「動画編集」「動画書き出し」といった各プロセスの成果物をAIで生成して工数を削減し、迅速かつ低コストで高品質の動画を制作するトータルソリューションです。クライアントのご要望に対し、読売広告社と読広クリエイティブスタジオのチームがコンサルティングしながら動画制作を進めます。

aivonでは、基本として「AIキャラクターが商品・サービスをプロモーションしている」という構造の動画を提案しています。動画なので基本的に何でもできるのですが、あまりに自由度が高いと却ってどうすればいいか迷ってしまいますよね。制作においてはこれまでの当社グループの知見を活かし、動画クリックやアイキャッチ成果が高いフレームワークに基づいて構成を提案するので、高いパフォーマンスが期待できます。これがほかにはないaivonの特長の1つです。
もう1つの特長は、1人ひとりに最適なパーソナライズされた動画を生成・提供できる点です。これまで動画コンテンツはパーソナライゼーションに不向きと言われていましたが、aivonではCRMシステムなどのデータとAPI連携し、パーソナライズ動画を実現できます。これもaivonの強みです。
動画制作の究極形は、1人ひとりに合った最適な動画表現を自動生成することでしょう。aivonはその状態に半歩近づいているソリューションだと考えていますし、それがほかにはないaivonの大きな特長です。

——コンサルティングしながら動画制作を進めていくとのことですが、基本サービスの構成はどのようなものでしょうか?

木村: あらかじめAIキャラクターを複数生成しているので、クライアントに任意のキャラクラーを選んでいただき、そのAIキャラクターを使って動画を制作します。もちろん、リクエストに応じたキャラクターや実際の人物での生成も可能です。動画の見せ方やストーリーについてはご要望を伺いながら進めていき、パーソナライズやAPI連携については別途ご相談させていただく流れになります。
ただAIが生成したキャラクターについては現在著作権リスクが指摘されており、扱い方に難しいところがあるのも事実です。私たちは事前にクライアントにその状況をご説明し、ご理解いただけるように努めているほか、プロンプトも工夫し、複雑でオリジナリティあるプロンプトを作成することでリスクを低減していく構えです。

制作現場や企業のマーケターにaivonはどのような価値をもたらすか

——栗原さんが所属する読広クリエイティブスタジオは、aivonの動画制作においてどのような形で支援を行うのでしょう?

栗原:読広クリエイティブスタジオはクリエイティブワーク全般を担当しているグループ企業で、私はaivonソリューションにおいて動画編集部分を担当しています。普段の業務は、デザイナーとして、動画だけでなくいただいた素材をより良く見せ、素材の力を120%引き出すためにデザインの力も併用しながらクリエイティブ制作に当たっています。

立田:aivonで動画の制作工程1つひとつは簡便になりましたが、編集は人が担当しなければならないただ1つ残った領域で、技術的にも難しい部分なんです。読広クリエイティブスタジオはその分野を担当し、実制作を担いながら成功のための知見も蓄積していく役割を負っています。

栗原:そうですね。実は私どもでは日常業務で生成AIを活用する機会はこれまでほとんどなかったんです。今回、aivonプロジェクトに呼んでいただいたことで、生成AIを業務に取り入れるきっかけにもなりましたし、AIを活用することで品質の向上や制作本数の増大を実現したいと考えています。

——クリエイターとして生成AIに期待している部分も大きいんですね。

栗原:aivonは今までと異なる新しい技術なので、私にとっても挑戦ですし、学びや成長に繋がると捉えています。AIの進化でクリエイターの仕事が取って代わられると言われていますが、実際に挑戦してみると、AIが1から10まで全部担えるわけではなく、まだまだクリエイターの力が必要であることがわかりました。逆に自動化できる部分が増えて効率化されることで、よりクオリティ高い成果物をスピーディーに制作できるという大きな利点があります。そこを私たちの新たな価値としてクライアントにお届けしたいですね。

——パーソナライズ動画についてもお伺いします。aivonの大きな特長として、CRMデータとAPI連携してパーソナライズした動画を制作できる点がありましたが、この仕組みについて教えてください。

岡村:API連携は非常に自由度が高く、CRMデータを連携させたOne to Oneコミュニケーションももちろん可能ですが、より容易なパーソナライズ動画を提供することもできます。たとえば名前のデータと結び付ければ、「木村さん、こんにちは」というようにAIキャラクターが話しかけたりする動画を制作できますし、ペットサービスであれば、トイプードルやチワワなど犬種別の動画を複数生成し、オーナーさんの飼っているペットに合った犬種の動画のURLをパーソナライズ動画としてメール送信できます。

木村:本件リリース前の7月上旬に、全社員の名前と入社年を入れてパーソナライズしたaivonの動画を一人ひとりにメールで送ったら、視聴した社員がびっくりしていましたね。

岡村:aivonでは、通常の動画制作ソフトのように1本1本動画ファイルを書き出すのではなく、マスターファイルを制作して可変部分に氏名などのデータを加えて視聴用のURLを発行し、「その人」に向けたメッセージを動画で伝えることができます。最も時間がかかる工程が、動画を編集してマスターを1本制作する部分で、そこに栗原さんの編集スキルを発揮していただきました。そして私が社員の名前と入社年の情報をaivonにAPI連携すると、そのまま社員数800名のURLが次々と発行されます。そしてタスク自動化サービスのMicrosoft Power Automate * を使い、生成されたパーソナライズ動画の告知メールを送信したんですが、社内からの反響はとても大きかったです。

* Microsoft Power Automateは Microsoft グループ企業の商標です

木村:具体的に「こういう案件で使いたい」という問い合わせを多くもらいました。パーソナライズ動画は訴求力が強く、視聴行動が大きく変わることを実感しました。企業のマーケターの方にも広く関心を持っていただけると思います。また、多くのファンを持つ芸能人やスポーツ選手のように、ファンマーケティングにとても効果的だと思います。

「GAME CHANGE PARTNER」に向けた挑戦は続く

——今回のaivonは自社開発AIソリューションの第一弾としてリリースされたとのことですが、今後、お客様への新たな価値創造に向けてAIを始めとするテクノロジーをどのように活用していくのか、構想をお聞かせください。

立田: おそらくですが、ビジネスの今後を予測したり、商談資料を作成したり、ビジネス文書を書いたりなどさまざまな分野でAIが主流になってくるでしょう。そうした流れにおいて、AIをどのように活用していくかということは、ますます大きなテーマになると思います。
ただ業種や業態によって必要とするテクノロジーは異なるので、私たちはこの現状を1つの商機と捉え、企業の皆様が抱える1つひとつの課題やニーズにお応えできるよう、変化をいち早く捕まえながらソリューションを提供したいと考えています。実際現在もいくつかプロジェクトが走っているので、これからも新しいサービスを提供し続ける構えです。

栗原:私が所属する読広クリエイティブスタジオは、aivonをきっかけに「新しいテクノロジーを業務に取り入れていこう」という熱気や「どういうテクノロジーが合うだろうか」など、会社としてGAME CHANGEしつつある雰囲気に包まれています。
もちろん新しい技術を取り入れることは大きなチャレンジですし、1から習得しないといけないこともあります。ただそれによってお客様企業に質の高い動画を迅速かつ多数制作することができれば、それは私たちの新たな価値になるはずです。そしてこの取り組みが私たちのビジネス拡大のチャンスにもつながればとても嬉しいですね。

木村:冒頭でお話ししたように、私もデジタルクリエイティブの制作を行うチームに所属しています。今私自身はaivonに集中していますが、本来行っているバナーやLPの制作、Webサイトのデザインなどに関わるワークプロセスを変えていきたいと思っているんです。
デジタル系のクリエイティブは単価もそれほど高くなく、労働集約になりがちです。AIはその部分を底上げし、アシスタント的な役割を担えるテクノロジーです。AIを活用すれば、デザイナーでない人も制作に携わることができますし、本業のデザイナーの方はより質の高いデザイン業務に注力できるようになります。またお客様とのコミュニケーションも、ベースのアイデア出しが早く進むことでより円滑に進みますし、制作プロセス全体もスピードアップします。
一方でaivonは今後も進化し続けますし、私たちも進化していかなければなりません。サービス自体、そして私たち自身も成長していくいい機会に恵まれましたし、今後もGAME CHANGE PARTNERとしてお客様に価値を提供し続けたいと考えています。

岡村:私はデータ・AIソリューション開発担当として、現在もいくつかのプロジェクトに参加しています。これからもソリューション発信でお客様に役立つ自社製品を実装していくと共に、自社製品と複数の最新テクノロジーを掛け合わせることも合わせて、お客様により高い価値を提供できるソリューションを提供していきたいと考えています。

<プロフィール>(写真左から順に)

メディアビジネスプロデュース局
クリエイティブディレクター
木村 朋子

読広クリエイティブスタジオ
モーショングラフィックデザイナー/チーフデザイナー
栗原 世菜

マーケットデザインセンター
データストラテジスト
岡村 明理

マーケットデザインセンター 局長代理
デジタルストラテジスト
立田 真一郎

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