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2021.10.01
日本のSDGsは各種調査結果をみれば生活者、企業とも認知や関心は高まっており、メディアでも取り扱われる機会が多くなっていることを考えると順調に浸透してきているのでは?と感じる方も多いかと思います。もちろん認知や関心自体が高まっているのはいいことだと思うのですが、それでも世界ランキングでまだ18位に留まっている現実もあります。また有識者からは、自社の取組をSDGsの17のゴールに紐づけしているだけで戦略的に計画を練って本気で取り組んでいる企業が日本ではまだ少ないという指摘も耳にします。
そんな状況を見ていると、日本企業の多くはまだ取り組むこと自体が目的に留まっている「守りのSDGs」の段階なのではと私たちは捉えています。「守りのSDGs」では17のゴールに紐づけることが目的になってしまいどの企業の取組も似たようなものばかりになってしまいます。もちろんしないよりはいいのですが、その企業らしさが見えないため社内外の共感が得にくく、取組自体が積極的に広く浸透していかない状況を生んでいるのではないでしょうか。その一方、本気でSDGsに取り組んでいる企業は「パーパス」に基づく「その企業ならではのSDGs」に意識して取り組んでおり、なぜその企業がそのSDGsに取り組むのか?が明確になっているため社内外の共感が得やすいものになっていると感じます。つまり企業価値向上にもつながる「攻めのSDGs」を推進しているわけです。いま日本企業にはその企業ならではの取り組む理由:WHYあるSDGsが求められているのではないでしょうか。
そのような課題認識を持っていた私たちは企業のWHYあるサステナブル活動を支援したいと考え、独自のサービスプログラムを開発、実践しています。当社は「都市と生活者の未来を拓く」というビジネスビジョンを掲げる都市生活研究所が得意とする「都市」と「生活者」の潮流から未来洞察、課題発見を行う独自のアプローチで企業や社会に貢献するビジネス活動を推進していますが、それをサステナブル領域にも拡張、展開しています。もともと都市生活研究所自体が博報堂DYグループのSDGs活動の一翼を担っており、その研究内容をSDGs支援に活用したいと考えていました。
私たちのサービスプログラムは大きく4つのステップから成り立っています。
ステップ1では都市生活研究所が持つ独自研究から「都市」と「生活者」の潮流をつかみ未来の変化を知覚、分析することで未来洞察、課題発見を行います。例えば2019年世界ランキング1位のSDGs先進国デンマークなどの海外都市の事例研究や長期的に愛され誇れるサステナブルな都市になるための生活者との関係づくりを研究する「シビックプライド研究」、SDGsネイティブな次世代生活者のニーズを探る「ミレニアル・Z世代研究」など海外先進都市からの学びを含めた様々な独自研究を通した未来洞察がそれに当たります。
ステップ2ではステップ1の未来洞察をふまえたクライアント企業ならではのパーパスをバックキャスティングで規定、社会と生活者から共感されるWHYある活動コンセプトを立案します。
その上でその活動コンセプトに基づき具体的なアイデアや事業計画などプロトタイピングを未来発想で行うステップ3を経て、ステップ4でサステナビリティ活動の実装を行ってまいります。このサービスプログラムでは共創パートナーとも提携しており各ステップで必要に応じて最適なパートナーをアレンジすることも可能であらゆるご要望に対応できる体制を用意しています。
読売広告社は、このようなサービスプログラムを推進することで日本の企業にWHYあるサステナビリティ活動を支援、普及させることで社会全体が「攻めのSDGs」先進国となるよう貢献していきたいと考えています。
※「JAAA REPORTS 2021年10月号」掲載
伊藤 雄大
データドリブンマーケティング局 第3マーケティングルーム ルーム長
シニアストラテジックプランニングディレクター
1975年鹿児島県生まれ。1999年読売広告社入社。中長期的なブランド育成・管理から短期的な集客/販促戦略の構築まで生活者視点でのニュートラルな戦略プランニングを核にソリューション開発・効果にまで責任を持つ。