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データ起点のマーケティング

2020.07.27

デジタル化が急速に進む今、データ活用がますますマーケティングの重要な役割となってきました。
今回はデータの重要性が高まる中、まだまだ耳にする「データを取得しているが、何からはじめれば良いかわからない」という声にお応えし、データマーケティングの根本となる、データの読み方についてお話しします。

データマーケティングを考える

データマーケティングと聞くと、DMPやCDPを使った大規模なデータ活用をイメージし、それだけで拒否反応が出てしまう方も多いのではないでしょうか。特に、これまでデータに携わる機会が少なかった部署のご担当の方はご苦労も多いかと思います。
実際に、昨今のデータ活用において、ビッグデータが携わってくることは多く、難解なものが多いのも事実です。ただ、ビッグデータにおいても、データ構築さえできてしまえば、データ活用の根本は同じです。
あらためて、データの読み方の根本を念頭に置くことで、膨大なデータとの向き合い方を見直すきっかけになっていただければ幸いです。

データを読む

データ活用の第一歩に、サイト解析データを導入される場合が多いでしょう。データマーケティングが主流になってから、多くの企業で活用されるようになったかと思います。
ここからは、データ活用をしなければならない方々が、限られた時間で効率よくデータを見ていくためのポイントとして、サイト解析データを中心にご紹介していきたいと思います。

データを読む①:まずは、そのデータがもつ概要を把握

まず、対象のデータの取得範囲を把握することが重要です。各企業が持つオフラインデータ、多くに顧客情報や購買情報が挙げられますが、このようなデータの場合は、どこまでの情報が含まれているかを把握しやすいかと思います。ただし、WEB上の行動データの場合、そのデータが持つ範囲はあいまいになりがちです。
たとえばGoogle Analyticsの場合、データの範囲は以下の通り(青い部分がGAでわかる領域)。基本は、対象サイト内の行動データのみに限定されています。加えて、Googleがサービス提供している範囲内で連携されたユーザー属性情報が紐づけられています。

データを読む②:次は、何を知りたいか?を整理する

データの中身がわかったところで、次は、何を知りたいかです。たとえばGAで計測できる指標は、セッション数やPV数、滞在時間などが挙げられますが、日々の推移をみて、なんとなくわかった気になっている、という方も多いのではないでしょうか。ただ、それでは課題を発見することは難しい。そしてまた、膨大にあるデータを様々な角度からすべて見る、というのも現実的ではありません。
ここで重要なことは、数値を見る目的を整理して、効率よく数値を読み取っていくことです。目的が整理されることで、優先的に見るべき指標が明らかになります。

たとえば、KPIにCV数などを掲げている場合、もちろんそれらを追いかけていくことは重要です。そして、そのプロジェクトやキャンペーンにおいて、何かしらの戦略が掲げられている場合、その戦略に基づいた目的指標をみていく、ということが優先されるべき項目になります。その他、各プロモーションや広告が実施されている場合、施策ごとの効果・貢献度も検証する必要があります。
下図のように、(KPIと戦略指標が分かれていない場合もあると思いますが)業績指標(KGI・KPI)→戦略指標→各施策評価指標のように、プロジェクトを検証する目的別に分割して整理すると、見るべきデータの情報がプロットできます。必要なデータを整理できれば、データを見る時間が削減され効率があがります。ぜひ試してみてください。

データを読む③:時系列データで全体感を把握する

そして、3つ目に重要なことは、各指標を時系列で管理し、ウォッチすることです。これはサイト解析データに限らず、様々なマーケティングデータにいえることですが、時系列でデータ管理し、各数値を同時に並べることで、今まで見えてこなかったことに気づくことが多くあります。これまで様々な企業のデータを見てきましたが、この全体感をみることでその後、深堀りするべき点も明らかになる場合が多いです。まずは、プロジェクトの全体感を知るためにも、時系列のデータをつくることをお勧めします。
比較的単純なことではありますが、時系列のいくつかのデータを組み合わせてグラフ表示することで、各データの相関関係が見えてくることもあります。また過去比較することで、その指標がどのような動きをしているのか、どんな影響(施策や曜日など)を受けて数値が増減するのかが明確になってきます。
主要な指標や相関がありそうな指標は、まずは時系列でグラフ表示してみてください。折れ線グラフや積み上げ棒グラフ、面グラフを複合的に使って、効果的に表現することがポイントです。
データを見る際、どうしても深堀りしたデータを見たくなってしまいますが、木を見て森を見ず、とならないよう全体を見て、深堀り&目的指標を見ていきましょう。

おわりに

今回はデータを読む、という点において日ごろ実践している3つのポイントを紹介させていただきました。データが複雑化するほど、複雑なデータの読み方をしなければならない、という感覚を持ってしまうことがありますが、どんなデータにおいても、データマーケティングはデータを読み・活用するというシンプルな2点であるということは変わりません!この2点を忘れずに、データをうまく活用いただければと思います。

小池 真奈

デジタル戦略推進部

2017年読売広告社入社。
ダイレクト視点の発想を活かし、デジタルマーケティング業務に従事。ユーザー行動データ起点のプランニングを師事。クライアントは金融・不動産・通信・製薬など。