YOMIKO STORIES

読広クリエイティブスタジオ社員がショートフィルム制作に挑戦し映画祭に入選

当社のグループ会社である読広クリエイティブスタジオに所属する渡辺 新之介が、「講談社シネマクリエイターズラボ」の制作するショートフィルムに参加しました。

短編アニメーション作品『ファースト・ライト』は現在、「シッチェス・カタロニア国際映画祭2025」「エティウダ&アニマ国際映画祭2025」「札幌国際映画祭2025」「ワシントンDC国際短編映画祭2025」「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025」に入選し、注目を集めています。

プロデューサーとして関わった渡辺 新之介に、作品に込めた想いや制作における取り組みを聞きました。

― 渡辺さんの普段の業務内容を教えてください。

読広クリエイティブスタジオ(YCS)統合プロデュース部で、今年度から部長を務めております。プロデューサーとして、映像やグラフィック制作におけるスケジュールや予算、各スタッフとのコミュニケーションなど、制作全般の管理・進行を担当しています。

―この活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

普段の広告制作は基本的にクライアントからのオーダーを形にする仕事です。もちろんやりがいはありますが、自分自身の純粋な想いを形にする機会は限られています。そんな中で、広告制作の業務以外でも何かできないかと考えるようになりました。

作品の監督である古山 俊輔さんとは、前職の同僚で7~8年来の付き合いです。彼は監督・ディレクター、私はプロデューサーという異なる役割でしたが、当時から年齢や立場に関係なくフラットに付き合える関係を築いていました。コロナ禍の通常業務が止まってしまったタイミングで「本格的に取り組んでみよう」となり、古山さんが考えたものに対して、壁打ち相手のような感じで、少しずつ作品づくりを進めました。

― 作品にはどのような思いを込めているのでしょうか?

企画を始めたのがコロナ禍だったこともあり、「どんな状況でも、希望を持って生きることの大切さ」が伝わる作品にしたいと考えていました。最終的には、見る人によってそれぞれの受け止め方ができる、でも前向きな気分は感じられるような、丁度いいバランスの内容になっているかなと思います。

今回、ナレーションは黒木 華さんに、音楽は佐藤 直紀さんに担当いただきました。講談社さんからお二人に協力を打診したところ、古山監督の熱意と作品の内容に共感していただけたことで、このような豪華なキャスティングが実現し、嬉しいと同時に、本当に驚きました。

―日々の広告制作の業務と創作活動の両立はどのように行いましたか?

まず、通常の業務に影響が出ないようにしながら、作品づくりにもきちんと向き合えるように、スケジュールや時間の管理は非常に意識しました。この活動のために通常業務の質を下げることは避けたかったですし、そもそも通常業務をおろそかにしては活動は続けられないので。

通常業務が忙しくなってきた時期には、作品の制作をなんとか軌道に乗せることができたので、タイミングにも非常に恵まれたと思います。

― 広告と映画で制作物は違っても、プロデューサーとしての立ち回りは近いものがあると思いますが、両方に携わることがプラスになると感じたことはありますか?​

私は制作の仕事が好きですし、面白いことに携わっていきたいと思う気持ちはどんなプロジェクトでも変わりません。そのうえで、これまで培った知見がこの活動にも生かされた面は大いにありました。​自分に特別な才能があったわけではなく、日々の仕事を真摯に取り組んできた結果だと捉えています。​

この作品は「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025」のほか、「シッチェス・カタロニア国際映画祭2025」「エティウダ&アニマ国際映画祭2025」「札幌国際映画祭2025」、「ワシントンDC国際短編映画祭2025」にも入選することができました。古山さんと企画を始めた頃は、まさか講談社さんで映画を制作することになる、そこに自分が関わらせてもらえるとは思いもしなかったし、海外の映画祭にノミネートされるなんてまったく想像できませんでした。この仕事をしていなければ、一生経験できなかったことだなと思います。

― 後輩にもこうした創作活動について伝えているのでしょうか?

私自身の経験を「こういう展開もあるから面白いよ」という形で伝えることはありますが、強制するつもりはまったくありません。誰かに言われたり、押し付けられたりするのではなく、まずは余裕を持てる環境を整えることが大切だと思ってます。

もちろん忙しい時期は踏ん張ってもらいたいですし、それが必ず本人の力になると思っています。でも、落ち着いたらきちんと休息を取ってもらう。その上で、映画を見たり、友人と過ごしたり。それぞれが自分なりの時間の使い方を見つけて、業務やそのほかの活動にも結び付けてほしいと思っています。

私は30歳手前でこの業界に入りました。決して早いスタートではありません。それでも、いろいろな人と話すのが好きで、楽しく関わっていったら、古山さんのようなクリエイターと仲良くなり、このような機会に恵まれました。年齢や経験に関係なく、情熱と行動力があれば、思ってもみない展開が起こることがあるよと伝えたいです。

― 時間をうまく使い、成果を上げるコツはありますか?

大切なのは、まず目の前の仕事に真摯に取り組むことだと思います。本気で情熱を持って取り組んでいれば、それは周りの人に伝わり、心を動かすきっかけになります。仕事には多かれ少なかれ制約がありますが、時間をうまく使い、何かに情熱を傾けることができれば、自己肯定感が高まり、満足感、幸福感も高まって、結果的に業務にも良い影響をもたらすと思います。

誰もが「幸せになりたい」「何とかしたい」と思っていると思いますが、それは誰かが与えてくれるものではなく、自分で何かしなければ何も変わりません。それが何かにつながるかどうかは分からないけれど、とにかく行動をしていくことが重要です。

―今後の目標やチャレンジしてみたいことはありますか?

まずは『ファースト・ライト』を多くの人に見てもらい、評価していただきたいです。古山さんとは次回作の企画についても話していますが、これまで通り一人の友人として、お互いにとって最良の形で関われればと思っています。また、家族との時間も大切にしたいですね。仕事と家族。30代の頃は難しかったこのバランスも、今になってようやく取れるようになってきました。

制作プロデューサーって、結局のところ人間関係が大事です。仕事も家族も大事にしながら、できるだけハッピーなマインドで取り組んでいきたいですね。

渡辺 新之介

読広クリエイティブスタジオ

統合プロデュース部 部長

1985年生まれ。2023年に読広クリエイティブスタジオ(YCS)入社。 料理とスポーツとマンガとドキュメンタリー番組が好き。「チームで面白がって楽しく考えながら良い映像が作れたら最高です!」