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広告・販促費用を最適化するデータビジネスの視点

2021.04.14

広告・販促費用の額や内訳を最適化し広告・販促投資のROIを向上させることは、利益拡大に直結し、成長を後押しする重要なテーマかと思います。この、広告・販促費用の検討に当たっては、「投資対象の視点」と、「投資領域の視点」の2つのレイヤーで最適化を図ることが出来ます。

最適化のレイヤー

事業やブランド、商品、国、地域などで検討する投資対象を分解し、各々の投資とリターンの関係を分析することで、投資拡大により売上拡大が期待できるもの、投資を削減してもそれほど売上に影響しないものを判別し、各投資対象に対する広告・販促費用の量的なアロケーションを検討することを、私たちは「投資対象の視点」と呼んでいます。このアプローチは短期的なデータだけでなく、中長期的な事業ポートフォリオなど戦略レイヤーや生産ラインの稼働状況などリソースプランニングレイヤーとの関係を考慮しながら検討を行うことになります。
もう一つの「投資領域の視点」は、広告・販促費用をどのようにして使うかという質的な最適化で、広告に投資するか、販促に投資するかというレイヤーの選択もあれば、広告の中でもテレビ広告に使うか、Web広告に使うかというビークル選択や、ブランド広告か商品広告かという括りの選択、販促の中でも小売り向けに使うか、消費者に向けて使うかなど様々な選択が含まれます。

これらを最適化するためには、現在の広告・販促投資によるリターンを算出すること、そこから広告・販促投資がどれだけのリターンをもたらすかのモデルを構築し、投資とリターンの関係を定量的に予測可能とすることが必要になります。私たちはデータを利用して主に3つのアプローチを採ります。

データを基にした3つのアプローチ

一つ目が時系列データ分析です。これは各投資対象別に過去の広告・販促投資履歴と、売上実績の履歴を時系列データとして整理し、これを状態空間モデルやGLM、重回帰などの統計モデルとして分析することで、各投資がどの程度売上に結びついたかを明らかにするものです。固定費変動費の関係で超過売上から利益貢献額を算出することで各展開のROIも算出することができます。
時系列データは広告の残存効果や店頭化率などそれ以前の状態に依存しているため各データ期間を独立したデータとして扱うことは不適当ですし、季節変動などの要因も検討することが必要です。
よく行われる手法ですが、季節性を考えると数年分のデータが望まれるため、新しい商品・サービスには使いにくい場合もあります。

二つ目が地域間データ分析です。これは地域ごとに自社の広告・販促投資と、売上データを整理しこれを統計モデルとして分析することで、各投資と売上の関係を明らかにするというものです。投下エリアと非投下エリアが明らかな基幹地区のみ投下するテレビ広告効果の分析などには使いやすい方法で、1キャンペーン期間のデータがあれば算出可能なので、比較的新しい商品・サービスにも適用しやすい方法です。この場合でも、地域ごとの営業力の差など地力が影響するためそれをモデルに組み込むことが必要になります。
当初からテスト目的でエリアごとの展開を実験計画法など用いて設計し、実施することで、より多くの要素を一度にテストすることも可能です。但し、エリアごとの投入額が分かりづらい Web広告の評価には適用が難しい場合もあります。

三つめが競合間データ分析です。これは、同一期間における自社及び競合の広告・販促投資と、売上データの関係を分析することで投資と売上の関係を見るという手法です。競合の投資額が分かりやすいマス広告の評価に適しており、これから販売するまだデータのない新製品にも適用可能です。
これも地域間比較と同じように算出期間以前の状態に依存する要素が大きく、各社のブランド力や営業力などを考慮する工夫も必要になります。
特にこの分析では、データから導かれる結果は一般的な市場のベストプラクティスに過ぎないので、企業や商品の差別性を考慮するなどの工夫が必要になることが多いかと思います。

企業の持つ様々な課題意識に対して、私たちはこれらの考え方や手法を組み合わせ、データドリブンに広告・販促投資を最適化するサービスを提供しています。利益拡大、成長支援のための一つの手法としてご活用いただければ幸いです。