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《一人称アプローチ×売り場起点》でブランド開発を支援する 【売り場ドリブンプログラム】

2023.08.04

「YOMIKO 都市生活研究所フォーラム2023」のソリューションセッションにてご紹介した、「《一人称アプローチ × 売り場起点》でブランド開発を支援する【YOMIKO 売り場ドリブンプログラム】」について、次世代コミュニケーション研究チームに話を聞きました。





若い世代ほど、オンラインで買えるものも、わざわざリアル店舗に買いに行く


ーー まず、この「次世代コミュニケーション研究チーム」の活動について教えてください。

西野:EC、サブスク、シェアリングエコノミーサービスなど、私たちを取り巻く買い物環境は近年、大きく様変わりしている訳ですが、この変化のなかで「いまの時代の、本当にいい買い物体験ってなんだろう?」を研究テーマに、買い物とコミュニケーションの未来の兆しについて探ることに取り組んでいます。


ーー 今回、買い物のなかでとくに「リアル店舗」に着目した理由を教えてください。

小関:直近で〈いい買い物体験をした〉と答えた20~60代を対象に調査を行ったところ、「オンライン購入できるものでも、わざわざリアル店舗で購入することがある」人が全体の約7割に及ぶことが分かりました。(図1)
とくにこの傾向は20代を中心とした若い世代ほど顕著で、彼らはSNSやネットで商品の情報や評判について徹底的にリサーチしたうえで、あえてリアル店舗に赴いて購入している、という行動が見えてきました。

西野:このように、オンライン時代の今、「いい買い物体験」に大きな影響を与えている要素のひとつが“リアル店舗”ではないかと考え、売り場でのユーザーの行動、心の動きを捉える取り組みを始めました。



図1)



■売り場での体験を、買い物をした本人の視点で〈ストーリー〉をとらえる


ーー 売り場でのユーザーの行動や心の動きを捉えるのに、どのようにアプローチしているのでしょうか。

小関:ユーザーの売り場での体験を探るのに、このチームでは「一人称アプローチ」という手法をとっています。一人称アプローチとは認知科学の分野で注目されている研究手法ですが、モノゴトを<当事者の視点・物語からとらえる>というところがポイントです。つまり、〈買い物をした当事者〉の視点で、売り場体験のストーリーを紐解こうとしています。

西野:たとえば他にも観察調査のように、ユーザーの売り場行動を外から捉える手法もありますが、この研究では〈買い物をした人自身〉が感じること、当事者の語る言葉を重視します。

いい買い物をした時、売り場でその商品とどのような出会い方をしたのか、どのように購入を決めたのか、ユーザー自身の〈ストーリー〉として捉えることで、「いいブランド体験につながる、売り場のポイントって何だろう?」をあぶりだしたいと考えています。





ーー …とはいえ、売り場での体験について、ユーザー自身、そんなに細かく覚えているものでしょうか?

小関:意外に思われるかもしれませんが、「良かった買い物について、その商品とお店で出会った時のことを覚えている・話せる」と答えた人は全体の7割にも上ります。(図2)

これまで実施した定性インタビューでも、「あなたにとってこだわり・思い入れのある『いい買い物だった』と思える買い物について、教えてください」という前提で話を伺うと、
参加者は売り場でどんな体験をしたのか、何が印象に残ったのか、非常に細かく語ってくださいます。



図2)



小関:こちらが、実際にユーザーが語ってくれた「売り場体験ストーリー」の例です。(図3)

お店に来る前~商品の棚の前に立った時~商品の手に取った瞬間…というように、売り場体験をかなり細かく記憶しているのがわかります。



図3)いい買い物体験をした人の売り場体験ストーリー



小関:この「ワイヤレスイヤホン」を購入した人の例をみると、事前にSNSやネットで徹底的に商品についてリサーチし、どの商品を買うべきかほとんど気持ちを決めています。そして実店舗には、現品を最終チェックするために出かけるのですが、いざ売り場でたくさん商品が並んでいるのを見た途端、「この中から、自分にぴったり合う商品をみつけたい!」という、感覚的な、まったく別のモードが働き始めます。そして最終的には、事前に決めていた商品とは異なる商品を選ぶ、という行動に至っています。このように、リアルの売り場では、事前のネット検索時とも異なる、新たな買い物モチベーションが生まれることもあるのです。





■売り場での買い物体験は、その後のブランドの態度形成にも影響する


ーー 売り場での出来事が、これだけ細かく語られているというのは驚きでした。リアル店舗は、現品のチェックや購入するだけの場ではないのだと感じます。

西野:その点に関連するのですが、〈売り場での体験〉はその後の商品・ブランドに対する態度形成にも影響しているようなのです。
「お店や売り場での良い買い物体験が商品・ブランドのその後の「いい思い出」につながっている」と回答した人は、20代、30代で7割を超えています。(図4)

つまり、〈売り場でのいい出会い体験〉をいかにつくるか?が、その後のブランド育成にとって重要なのだと考えます。



図4)

ーー 今回発表した、【YOMIKO 売り場ドリブンプログラム】について教えてくだい。

小関:売り場での出会いがその後のブランドへの態度形成に影響するとお話ししましたが、このプログラムはその売り場での〈商品とのいい出会い体験づくり〉をサポートするプログラムです(図5)。一人称アプローチで売り場でのユーザーの体感・体験を緻密に探り、その売り場で求められているインサイトを紐解きながら、ブランド開発につなげていきます。具体的には、パッケージ・店頭ツールから、ネーミングやコンセプト、プロモーションも含めたブランド開発をお手伝いいたします。



図5)



ーー どのようなケースに、【YOMIKO 売り場ドリブンプログラム】をおすすめしたいですか?

西野:〈売り場起点〉で商品との良い出会い体験を作っていける点がユニークなので、これまでとは異なるアプローチでのブランド開発に興味のある企業様にご活用いただけたら幸いです。
実際にこのプログラムをご活用いただいたクライアント企業様からは、「ユーザー目線で売り場を考えるようになった」「いままで、売り場で訴求すべきだと思っていたポイントが、実際は違っていた」などの声をいただいています。
一人称アプローチで売り場を起点に発想していくことで、ユーザーにとっての本当にいいブランド体験をつくるご支援ができればと思います。





【調査概要】(図1・2・4)
調査対象:直近半年で「いい買い物をした」と回答した20~60代の男女 計:1,000名
調査時期:2023年2月 調査エリア:首都圏(1都3県)  


【次世代コミュニケーション研究チーム メンバー】

・西野 千菜美 都市生活研究所 都市生活ビジネスデザインルーム/ストラテジックプランナー
・小関 美南  都市生活研究所 都市生活ビジネスデザインルーム/ストラテジックプランナー

・青山 貴哉  関西マーケットデザインセンター/ストラテジックプランナー
・鶴田 明希子 マーケットデザインユニット付 MDユニットマネジメントルーム/リサーチャー

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