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自分時間インタビュー「小説を執筆し文学賞を受賞」

2024.04.17

本企画は、当社が取り組むタイムマネジメント推進において、自分のための時間を上手に活用して自身の成長に結びつけている社員を紹介します。第1回は、自分の時間を活用して小説を執筆し「ジュニア冒険小説大賞」で大賞を受賞された山下雅洋を紹介します。

*当社のタイムマネジメント推進の概要については文末をご参照ください。

ー 山下さんの普段の業務内容を教えてください

都市生活研究所で所長代理をしています。「シビックプライド(以下、CIVIC PRIDE®)」や場の付加価値創造といった研究所ならではの強みを活かした武器づくり、そしてその武器を活用したクライアントの商品開発・事業開発サポートが主な仕事です。

あと、「CIVIC PRIDE®」ポータルサイトの編集部員として、「CIVIC PRIDE®」という考え方を発信したり、「YOMIKO CIVIC PRIDE® ACTION」として、ねぶたのかけらをつかった名刺入れをつくったり、秩父市の観光誘致のための「JIMOTOON」という縦スクロール型のマンガをつくったりしています。「JIMOTOON」、みなさん読んでください。

ー かなり幅広い業務をされていて、お忙しいと思うのですが、その中で、自分の時間を活用して行ったこと、行なっていることはありますか?

小さい頃から本を読むのが好きなので、自分の時間を活用して、ビジネス本からマンガ、小説やエッセイなど、ジャンル問わずたくさんの本を読むようにしています。先日も札幌に出張したのですが、移動時間で読む用に、本を3冊持っていきました。重かったです(笑)。

ー 今回、小説をお書きになって、それが賞を獲り、出版されたということですが、これまで主に「読む側」だった山下さんが「書く側」になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

そうですね、シンプルに、自分で書く方が楽しい、ということに気づいたからです。もちろん読書は好きですが、読むだけではちょっと物足りなくなってきたというか。

例えば、いい小説を読んだ後に、自分も何か書きたい、とそわそわするようになったりして、その気持ちをどうにかしたくて、まずは気負わずに短めのお話を書いてみました。そしたらそれが想像以上に楽しかったんです。もちろん楽ではないですけど、自分が思い描いている世界を、どういう言葉を使えば、できるだけその世界のまま伝えることができるか、どんなリズムで書けば読む人が没入できるか、その試行錯誤でたくさん発見があって、飽きません。

あと、自分で書くようになって読む楽しさも増しましたね。「よくこんな表現を思いつくな」とか「こんな短い文章で、ここまで胸を突くなんてすごい」など、先人からは学ぶことばかりです。

ー なるほど、書くことで、言葉や文章に対して読み取る感覚も鋭くなった、ということかもしれませんね。例えばそれが日常業務に与えている影響などはあったりしますか?

うーん、具体的に、これ!という明確な影響を与えているかと言うとわかりませんが……都市生活研究所の仕事って、突き詰めると、ありたい未来を描くことだと思うんです。どんな未来だったら、生活者がいまよりも、豊かに、幸福に暮らせるか。そのためにどんなサービスやモノがあればいいか。

その未来に、みんな、例えばステークホルダーの方々が、わくわくしたり、賛同したり、一緒につくりたいと思ってもらえるかどうかが勝負だと思っていて。そのために、ストーリーテリングの力や、思い描いた未来をそのままの姿で伝える言葉の力は大切なので、そこには役立っていると思います。

あとは「人」を捉える解像度が上がったかもしれません。あえていうと「よりリアリティのある生活者像が描けるようになった」という感覚です。

当然ですが、フィクションにこそリアリティが必要で、リアリティがないと、登場人物やストーリー展開に共感できない。つまり物語に没入できない。なので、本を書くときには、例えば「人ってこういう時、ついこうしちゃうよね」とか「こういう矛盾があるからこそ、人間だよね」というリアリティをどう出すか毎日うんうん考え続けていて、それが日常業務において、生活者像を描くときに役に立っているかもしれません。あくまで「かもしれません」ですけど。

ー なるほど、特に都市生活研究所だからこそ、業務に活かせる要素が多いのかもしれませんね。最初から業務に結び付けようと思っていたのですか?

いえ、まったく思いもしませんでした(笑)。あと、これはやってみて思ったんですが、むしろ業務に結び付けようと思わない方がいいと思います。業務や仕掛けのための時間については、業務と結び付けよう、でいいですが、自分時間は、むしろ業務との距離がある方がいいと思いました。

ー それはなぜですか?

理由は2つあって「想定外を生むから」「その想定外を活かせるのが広告会社だから」です。

まず、業務の頭で考えると、これまでの延長線上での発想になってくると思うんです。もちろんそれはそれでよくて、だから現業が改善されたり、より効率的になったりするんですが。

でも、業務の頭じゃなく「個人としての私の頭」で考えると、たぶん業務の延長線上ではない、違う次元での発想になってきますよね。そうすると、通常の思考プロセスからは出てこない「想定外」が生まれると思います。その想定外が、イノベーションのタネになったりすることもある。

そして、広告会社は、どんな想定外であっても仕事にできる業種です。クライアント業種も多種多様ですし、広告制作だけじゃなく、商品開発や事業開発、街づくりや空間づくりなど、アウトプットだってたくさんあるし、なければ自分でつくることもできる。
なので、ぜひ、安心して、業務とできるだけ離れた活動をしてもらえればと思います。

『鈴の送り神 修行ダイアリー』(岩崎書店) 作:山下 雅洋 絵:酒井 以

あらすじ:中2の鈴は、夏休みに田舎で池に落ちて溺れてしまう。目覚めた場所は、この世とあの世の「あわいの世界」。そこで死神と出会い、死者の魂を送る”送り神“の修行をした7日間の物語。

「死をテーマにしていながら、陰惨さがなく、希望と躍動感に満ちた物語になっている」という点が評価され、大賞を受賞した。

ー 最後に、今後、自分の時間で取り組みたいことや、チャレンジしたいことはありますか?

これからも小説は書き続けますが、それとは別に、どうやれば、社内やグループ内で、もっと「知の出会い」が生まれるか、ということを考えたいです。

研修やコミュニティに参加して感じたのですが、社内にもグループ内にもユニークな人がめちゃくちゃいて、それぞれ独自の知見や経験、自分なりの仕事哲学やメソッドを持っていたりするんですよね。

例えばグループ他社で大喜利部を主催されている社員の方と「大喜利を発想法トレーニングに使えないか」という話をしてとても面白かったんですが、そんな人同士が出会って、新しい動きが次々に生まれてくるようなことができれば、もっと面白い会社になると思いますし、そういう人と出会うことで、僕ももっと成長できると思っています。そんな「楽しい成長の発火点」をたくさんつくるにはどうすればいいか、を考えて、行動したいと思っています。

◇タイムマネジメント推進に向けた取り組み

当社では、人的資本経営の実現に向け、社員のタイムマネジメント強化を目的に様々な施策を取り組んでいます。そのひとつとして時間の使い方の指針を決めてその有効活用の推進を行なっています。これは、従前から行なっていた業務時間全体を10としたときに、その6割を「業務」の時間とし、3割を次のビジネスを考える「仕掛け」の時間に、残りの1割を未来に向けた「自分」を磨く、投資の時間に充てることで次の「GAME CHANGE」を生み出すことを目指しています。

山下 雅洋

都市生活研究所

所長代理