YOMIKO STORIES
2025.09.11
自分時間インタビュー グラフィック作品を二科展に出品し、2年連続で受賞

本企画は、当社が取り組むタイムマネジメント推進において、自分のための時間を上手に活用して自身の成長に結びつけている社員を紹介します。第4回は自分の時間を活用して二科展に出品する作品を制作し、2024年と2025年にデザイン部門の「会友賞」を受賞した長谷川広典を紹介します。
*当社のタイムマネジメント推進の概要については文末をご参照ください。
ー 長谷川さんの普段の業務内容を教えてください。
CMやプロモーションの企画・制作はもちろん、SNSやイベントなど、クライアントの課題を解決するために多岐にわたるコミュニケーション施策を手がけています。
最近ではビジネス全体を中長期的に見通し、ブランド戦略を考えるところから参画する機会も増えています。

ー 忙しい毎日かと思いますが、プライベートの時間を活用して行っていることを教えてください。
大学時代から続けているアート活動に時間を使っています。特に「二科展」という公募展のデザイン部には、大学3年生のときから毎年出品しています。そして最近では、2024年と2025年の2年連続で「会友賞」をいただくことができました。
この二科展とは、絵画部、彫刻部、デザイン部、写真部と4つの部が3つの法人で構成され、毎年、秋に六本木の国立新美術館で二科展を開催し、国立新美術館を皮切りに約7か月をかけて全国巡回展を行っている美術展覧会です。
二科展デザイン部では、主に「一般」「会友」「会員」という区分があります。私は現在、「会友」として活動しており、会友賞は「会友」区分から選ばれる賞です。

ー 二科展での受賞、素晴らしいですね。社内での反響はいかがでしたか?
上司が全社員にメールで受賞を報告してくれたおかげで、同期や先輩方からたくさんのお祝いメッセージをいただきました。その話が得意先との間でも話題になり、「作品、観に行きます!」という温かいお声をいただくなど、想像以上に反響がありました。アート活動のことを皆さんに知っていただく良い機会となり、とても嬉しく感じています。
ー 大学生の頃から毎年出品されているとのことですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
大学では美術の教員を目指し、デッサン、油絵、彫刻など美術に関する幅広い勉強やスキルを磨いていたので、アートは非常に身近な存在でした。
二科展への出品のきっかけは、大学3年生の時に、指導教員とのご縁で、ある二科展の会員をされている先生から「学部生の皆さんも応募してみたらどうか?」と声をかけていただいたことです。
とはいえ、何もわからない状態からのスタートでしたが、多くの方にご協力いただきながら、仲間と一緒に挑戦してみることにしました。特に、二科展デザイン部は、デジタルデータの入稿だけで、その後のパネルの印刷や、会場までの納品などを一気に手掛けてくれる仕組みも実装されており、学生だった私たちも、積極的に応募できたのが大きかったです。
すると幸運にも、二科展デザイン部A部門二科デザイン・ポスターにおいて「大賞」に選んでいただいたんです。その時の自分が表現したいことを出し切った作品ではありましたが、まさか大賞を受賞できるとは思っていなかったので、本当に驚いたことを今でも覚えています。
この大賞作品は自分でも気に入っていたので、以来、同じモチーフで、毎年作品を作り続けています。

ー 仕事をしながらの作品制作は大変だと思いますが、どのように両立されているのですか?
二科展の作品制作は、応募締め切り前の1ヶ月ほどで集中して行うことが多いですね。その期間に一気にアウトプットできるように、日頃から作品のヒントになりそうなものを、毎年ストックしています。例えば、お気に入りの画像、展覧会のメモ、ふと思いついたアイデアやキーワードなど、形式にこだわらず、ざっくばらんに集約しておき、それらをヒントにしながら、応募が近づいてきたタイミングで、いざ創作という流れになります。
社会人になってからは時間的な制約があるので、創作活動が大変だと思うこともあります。仕事に集中しすぎて「気づけば二科展の締切が迫っていた」という年も少なくありません。それでもこの活動を続けられるのは、私にとってアート制作が、精神的にリラックスできる貴重な時間だからです。
普段の業務は、「クライアントの課題解決」という明確なゴールと制約の中で、ロジカルに物事を進めていきます。一方で、二科展の制作では、部門ごとのテーマはあるものの、クリエイターの自由度はかなり高い印象です。そのため、毎年、追求したいものを色濃く反映できるので、より創作に没頭しやすく、クライアントワークとはまた異なる脳の使い方をする、とても心地よい時間なんです。

ー アート活動がリラックスの時間にもなっているのですね。仕事とは違う「アートならではの発想法」があれば教えてください。
仕事とアートでは、思考のプロセスが真逆とも言えます。
仕事がゴールから「逆算」して論理的に組み立てていくものだとすれば、私のアート制作は「セレンディピティ(偶然の幸運な出会い)」を何よりも大切にしています。
制作を始める段階で、完成図は全く頭にありません。まずは心の赴くままに手を動かしてみて、その過程で生まれる、意図しない形や線に「お、面白いな」と自分でも驚くような瞬間を探していくんです。逆に自分の想定内にきれいに収まってしまうと、ワクワクしないんですよね。もちろん、その「偶然の出会い」が見つかるまでは苦しさもありますが、それも含めて楽しいなと感じています。
どこで「完成」とするかを決めるのも自分次第です。やりすぎたと思ったら前の工程に戻って、引き算していくこともありますし、日によってゴールが変わることもあります。その中で、最後は「これでいこう」と腹をくくる潔さも求められますね。
ー 作品を制作する上でのこだわりや、意識していることは何でしょうか?
「初心を忘れない」ということでしょうか。
初めて大賞をいただいた時の感覚は今でも大切にしています。作品のベースとしては、大学の先生方から教えていただいた考え方や発想、面白さを追求する姿勢などの影響をかなり受けていると思います。
それらに加えて、エッセンスとして「トレンド」を作風に取り入れることも意識しています。グラフィックなので言語化が難しいところもありますが、例えば「平成レトロ」のように、懐かしいカルチャーを現代的な感性で再解釈するような感覚を作風に取り入れてみる年もあったりします。その時々で、自分が一番ワクワクするものを追求したいと考えています。
ー アート活動が、本業のクリエイティブに影響していると感じることはありますか?
思わぬ形でたくさんあると感じています。
一番分かりやすいのは、描画スキルそのものです。私はもともと人物、特に顔を描くのが好きで作品にもよく登場させているのですが、その経験がCMの絵コンテを描く際にすごく生きています。頭の中にある企画のイメージを、アングルや構図まで、クライアントに伝わるように素早く描き起こせるのは、仕事を進める上での大きな強みです。
また、二科展でいろいろな作家さんの作品を見て「審美眼」が磨かれている実感もあります。自分では思いもよらない表現や、新しい角度からのアプローチに刺激を受けることで、知らず知らずのうちにデザイン的な嗅覚が鍛えられる。そういった質の高いインプットが仕事でのアウトプットにつながっていると感じています。

ー 最後に、今後の目標や挑戦したいことをお聞かせください。
アート活動については、一人の作家として自分の表現をさらに深めていくことはもちろん、自分が育ててもらった二科展の活動に積極的に参画していきたいです。
仕事の面では、課題解決に寄り添い、そのアプローチの中でワクワクするクリエイティブ制作に挑戦していきたいですね。自分の仕事を通して社会や誰かのために少しでも良い変化を生み出す、そこまで突き詰められるクリエイターになることが目標です。
◇タイムマネジメント推進に向けた取り組み
当社では、人的資本経営の実現に向け、社員のタイムマネジメント強化を目的に様々な施策を取り組んでいます。そのひとつとして時間の使い方の指針を決めてその有効活用の推進を行なっています。これは、従前から行なっていた業務時間全体を10としたときに、その6割を「業務」の時間とし、3割を次のビジネスを考える「仕掛け」の時間に、残りの1割を未来に向けた「自分」を磨く、投資の時間に充てることで次の「GAME CHANGE」を生み出すことを目指しています。


長谷川 広典
統合クリエイティブセンター 第1クリエイティブルーム
プランニングディレクター/AIコミュニケーションデザイナー
2017年4月に新卒入社し、メディアプランナーを経て、クリエイティブ局に配属。プランニングディレクターとして活躍中。ゲーム、エンタメ、食品など幅広いクライアントを担当。