YOMIKO STORIES
2025.10.09
<MORE×CIVIC PRIDE® 「わたしたち」の地方創生PROJECT> 20~30代女性の「二拠点生活」トークイベントを開催しました!

『CIVIC PRIDE®ポータルサイト』編集部が集英社の雑誌『MORE』とタッグを組んで始動した、<「わたしたち」の地方創生PROJECT>。このプロジェクトでは20~30代女性の二拠点生活に関する意識調査を実施したのちにトークイベントを開催し、調査レポートの解説や、『MORE』『CIVIC PRIDE®ポータルサイト』両編集長と二拠点生活実践中の20代女性によるパネルディスカッションを行いました。
多くの自治体関係者や地方創生に携わっている企業の方にご来場いただいた当日の様子をレポートします。
タイトル:『20~30代女性の「二拠点生活」調査レポートから見えてきた要注目ターゲットと動かす5つのヒント』
期日:2025年7月16日(水)
会場:SHIBUYA QWS(渋谷スクランブルスクエア内)
参加者:お申込みいただいた自治体関係者の皆様/地方創生や二拠点生活に関心のある企業の方々 ほか
レポートの調査概要:都市部に住む20~30代女性8,587人に対する定量調査および二拠点生活経験者を中心とした7名への定性調査(インタビュー)

広告会社と出版社が二拠点生活の共同調査に至った背景とは
集英社の雑誌『MORE』は、コロナ禍を機に地方創生に取り組み、全国のMOREインフルエンサーズ(MOREの読者組織)が地域情報を発信するWEBコンテンツ『MORE JAPAN』を展開しています。一方、『CIVIC PRIDE®ポータルサイト』を運営する読売広告社(YOMIKO)は、好きなまちに対する誇りや愛着を意味する「シビックプライド」をテーマに、約20年にわたって活動を続けています。
そんな両者がタッグを組んで誕生したのが、若い女性の等身大の視点で地方創生をとらえ、人口減少や若年層の流出に悩む自治体のアシストを目指す<「わたしたち」の地方創生PROJECT>。
同プロジェクトは「二拠点生活」に着目して20~30代女性の意識調査を行い、去る7月16日、調査結果を深掘りするトークイベントを開催しました。


半数が都市部以外にも興味あり。二拠点生活に対する意識
7月16日午後、活気ある雰囲気の中でトークイベントがスタート。
当日のプログラムは中田さん・小関の両編集長による「調査レポートの報告」と、二拠点生活実践中のReikaさんを迎えた「パネルディスカッション」の2部構成で進められました。
第1部の調査レポートで最初に伝えられたのは、「20~30代女性の2人に1人は都市部以外の暮らしに興味がある」ということ。けれど、だからといって二拠点生活には直結しておらず、「二拠点生活に興味がある」と答えた人は10%台にとどまっている現状が報告されました。
一方で、二拠点生活に興味がある人の半数以上は、何らかのアクションを起こしているという事実も判明しました。
「これは、いったん二拠点生活に興味を持ってくれれば、一気にアクションまで進む可能性があるということ。私たちはここに希望を感じています」と小関。まずは二拠点生活に興味を持ってもらうことが大切だと話しました。

大変そうな印象が妨げに。二拠点生活を広めるための課題
今回の定量調査では、二拠点生活に対して「お金がかかりそう」「ハードルが高そう」など、大変そうなイメージを持つ人が多いことも判明。しかし定性調査では、補助金やレンタルサービスの利用により「思ったほどお金はかからなかった」との声が多数あったことや、「居場所が2つあるのは楽しい」など、ハードルをはるかに上回る魅力があるとの声が圧倒的だったことを紹介しました。
二拠点生活を通じて価値観が広がったとの声も多く、中田さんからは「若い女性が自分の選択肢を増やして価値観を広げるという、『MORE』が目指している理想に近いものを感じる」とのコメントもありました。
これらの結果を総括し、「二拠点生活を広めるための2つの課題」として
(1)ハードルが高いという思い込みがある
(2)実践者が感じているメリットが知られていない
の、2点が挙げられました。

最注目のターゲット像は「人生よくばりタイプ」
続いて、話はターゲット像に移行。調査レポートでは「二拠点生活に興味がある」と答えた二拠点生活興味層を6タイプに分類し、すぐにでも動き出してくれそうな最注目は「人生よくばりタイプ」であると分析しました。

さらに、イベントではこのタイプを深掘りし、
・「今の自分がどうしたいか」を大切にしている
・今いる場所へのシビックプライドが高く(都会も好き)、かつ、二拠点先ともきちんと関係性をつくりたいと考えている
など、ほかのクラスタとは異なる傾向についても解説しました。
そしてターゲット像分析のまとめとして、「人生よくばりタイプは二拠点生活の魅力を発信したり、地域の若者のロールモデルになったりと、アーリーアダプターとしてポジティブな影響力を期待できる人たち。このタイプにアプローチすることで二拠点生活の潮流にドライブをかけられるのでは」との方向性を示しました。

20~30代女性を動かす5つのヒント。キーワードは「カフェ」
次に、トークは「二拠点のベネフィット、どうしたら伝わる?」というテーマに移り、20~30代女性に動いてもらうための「5つのヒント」を紹介しました。

このうち、参加者が特に興味深そうに聞いていたのがヒント1の「カフェ」。
カフェは、二拠点先に欲しいものとしてとにかく多かった回答です。トークではその真意について深掘りし、「彼女たちが表現する“〇〇なカフェ”の形容詞を掘っていくと単にお茶するところが欲しいわけではなく、居心地の良い場所があって気の合う顔見知りができ、人間関係が広がることを求めている」と分析しました。
またヒント2~5についても順に触れ、
・既存の地域コミュニティに入るというよりは、価値観やライフステージが似ている人とつながりたい気持ちが強い
・繰り返し訪問するうちにいつの間にか二拠点生活に移行していくプロセスはハードルを感じにくい
・お役立ち情報やOG体験談へのニーズに応えることも有効な施策になり得る
など、今後に生かせる分析ポイントを紹介しました。


これらのヒントを導き出した定性調査を振り返り、中田さんは「今回のインタビューに協力してくださった二拠点生活経験者のみなさんは、いわゆる“普通の女性”。だからこそ、二拠点生活を志向する女性は今後も増えていくのではないかと、私たちは可能性を見出しています」とコメント。二拠点生活興味層は決して特別ではなく、ターゲットは想像以上に広いことを示唆しました。
小関も「経験者は2つの居場所の“いいとこどり”ができる楽しさを挙げる人が多く、軽やかでエネルギッシュな印象を受けました。こうしたターゲット像を、より深く知っていただければ」とメッセージを投げかけ、調査レポートの報告を締めくくりました。

【パネルディスカッション】経験者~Reikaさんの場合
トークイベントの第2部では、横浜⇔南紀白浜で二拠点生活を実践しているReikaさんを迎えてのパネルディスカッションを行いました。
Reikaさんは友人の薦めで白浜を訪れ、自然の美しさや食べ物のおいしさ、人の温かさに感銘を受け、「旅の延長線上という感じで」ゲストハウス兼シェアハウスを利用しながら二拠点生活をスタート。現在は白浜のコーヒーショップのオーナーという顔も持っている、MOREインフルエンサーズのメンバーでもある20代女性です。
イベントでは、ReikaさんへのQ&A形式でトークが進められました。

Q.二拠点生活を経験し、変化したことは?
以前は都会が大好きで、地方は何もないと思い込み、あまり興味を持っていなかったというReikaさん。
「でも白浜に来て、夕日の美しさや地元のおばあちゃんがつくるごはんのおいしさなど、今まで経験したことのないところに心が動くようになって……。新しい自分に出会えたことは大きな変化です」
白浜でコーヒーショップをオープンしたことも変化の1つで、「二拠点生活を始める前は想像もつかなかった展開」だとか。「地方は都市部に比べてお店などが少ないので、今から私たちの世代がいろいろなものをつくっていける良さがあると思います」と笑顔で話しました。

また、地方ではReikaさんのように外部から来たニューフェイスが話題にのぼりやすく、人間関係も自然に広がっていったというエピソードでは、「温かく迎えてくださっている感覚はすごくあり、地元の方に背中を押してもらって今があります」と語りました。
Q.「5つのヒント」の中で、特に共感できたものは?
白浜へ来てまずカフェを探したというReikaさんは、この質問に「カフェですね」と即答。海を眺めながら仕事ができるカフェを見つけ、「Wi-Fiが使えるし東京と違って滞在時間の制限もなく、仕事がはかどりました」と当時を回想しながら話しました。
ヒントの中の「コミュニティ(共同体)よりカンパニー(仲間)」にも言及し、Reikaさんは地域コミュニティに属しておらず、主にカフェの出会いで友人が増えていったという自身の体験談を披露してくれました。この話を聞き、「既存のコミュニティに入らなくても自分の居場所ができたことは大切なポイント」と中田さん。二拠点先に馴染めるか懸念している人たちに、勇気をくれるエピソードとして注目しました。
Q&Aではこのほか、今欲しいものは「電車、飛行機、バスなど二拠点間の複数の交通手段をまとめて検索・比較ができるアプリ」といったリアルな要望も話題にのぼり、参加者が熱心に耳を傾ける姿も見られました。
軽やかでアクティブ!見えてきた二拠点生活のリアル
最後に、こうした生の声や今回の調査レポートを踏まえ、中田さんから「二拠点生活をしているOGの話を聞きたいというニーズに応える施策を検討してもいいかもしれません。まずは自分たちのまちで二拠点生活をしている人がどのくらいいるのか、といったことからリサーチしてみては」との提案がありました。
小関は、若い女性は人口減少や出生数とセットで語られがちなことに触れ、「今回の調査はそういった“社会課題側”から20~30代女性を見るのではなく、彼女たち自身の目から二拠点生活を見つめたもの。そこには予想よりはるかに軽やかでアクティブな姿があったので、彼女たちの声をもっと発信していけたら」と抱負を語りました。
当日の様子はYouTubeでもご紹介しています。
調査結果がわかる資料も特設サイト内でダウンロードできますので、ぜひご覧ください!
登壇者プロフィール

小関美南(こせき みなみ)
CIVIC PRIDE®ポータルサイト編集長
読売広告社に入社後、多様なカテゴリのコミュニケーション設計や新商品開発に携わったのち、都市生活研究所に所属。2023年の『CIVIC PRIDE®ポータルサイト』立ち上げ以来、編集長として、シビックプライドに関連する全国各地の取り組みを取材・発信。CIVIC PRIDE ACTIONの企画~実施も手がける。

中田貴子(なかだ たかこ)さん
MOREブランド統括/MORE編集長(WEB) MORE JAPAN地方創生チーム統括
集英社に入社後、『non-no』『BAILA』『éclat』といった20~50代女性向けメディアの編集部にてファッションページを担当。2020年『MORE』本誌編集長、2022年『MORE WEB』編集長、2023年6月より現職。日本各地のお出かけ情報を発信する人気コンテンツ『MORE JAPAN』の運営にも力を入れている。

Reika(れいか)さん
『MORE』の読者組織であるMOREインフルエンサーズのメンバーとして、『MORE WEB』のブログ記事を執筆。フリーランスでインスタグラム運用などさまざまな業務をする傍ら、二拠点生活をきっかけに和歌山県白浜町でコーヒースタンドをオープンし、オーナーとしても活躍中。
<参考>
・CIVIC PRIDE®ポータルサイト 編集長対談記事
集英社「MORE」中田編集長と対談「20~30代女性×二拠点生活」から考える地方創生
https://civic-pride.com/talk-interview/13186/
・CIVIC PRIDE®ポータルサイト イベントレポート
20~30代女性の「二拠点生活」トークイベントを開催しました〈イベントレポート〉 -MORE×CIVIC PRIDE®「わたしたち」の地方創生PROJECT-
https://civic-pride.com/column/13387/
*「シビックプライド/CivicPride」「CIVIC PRIDE」は、株式会社読売広告社の登録商標です