SPECIAL CONTENTS

<令和時代の消費をけん引する新たなリッチ層>研究

2022.01.14

はじめに

読売広告社データドリブンマーケティング局では、生活者の多様化に一層の拍車がかかる中、富裕層の属性や価値観も時代に合わせて変化・多様化していることや、従来の富裕層とは違う若年リッチ層が都心の高額マンション(億ション)などの高級商品を購入している点に、数年来注目していました。

このコロナ禍で旅行や外食が制限されている中で、様々な高級商品の消費が活発化している現象。その高級商品を購入している若年リッチ層や富裕層の実態を探るために「富裕層(若年リッチ・富裕層)の消費・意識調査」を実施しました。

年代別で現在の所有しているモノを見てみると、高級輸入車やセカンドカー、アートなどを所有している50〜60代富裕層に対し、20〜40代富裕層は高級ジュエリーやワインセラーとなっており、年代で大きな差が見られ、価値観や志向性の変化の兆しが見られました。

また「シェア派/所有派」の志向では所有派が多い富裕層ですが、20〜40代富裕層はシェアやサブスクへの許容度が高い傾向が見られ、自動車や住宅など耐久商材も“サブスクでよい”が半数以上と、所有にこだわらない若年リッチ層の価値観が見られました。

富裕層研究チームでは、これからのマーケティングで大きな可能性を秘めている層として、20~40代の若年リッチ層にフォーカスし、その中でこれからの消費をけん引する新しいリッチ層として、「起業家リッチ」「世襲リッチ」「ダブルエンジン」の3つのカテゴリーに着目して調査研究を実施しました。

今回は、2021年9月に実施した調査からみえてきた3つのカテゴリーの特徴や違いについて、富裕層研究チーム(データドリブンマーケティング局 佐々木・大塚・上野)に聞きました。

同じ20〜40代リッチ層でもコロナ禍以降の高額消費はカテゴリー毎の違いが

大塚:まず、コロナ禍以降に消費した高額商材でも属性カテゴリー毎の違いがみられました。
起業家リッチは「美容健康」や「テレワーク環境」「洋服・着物」、世襲リッチは「住宅」や「金融資産」に対する消費が比較的高くなっています。

上野:ダブルエンジンは、「外食」が他の属性カテゴリーより高いスコアとなっています。自粛ムードが治まるにつれ、共働き世帯で特に外食・中食需要が増加したという話もありますが、これはダブルエンジンで顕著なのかもしれませんね。

佐々木:起業家リッチはこのコロナ禍においても、ビジネスや人付き合いを意識した消費が多いような印象です。そして、世襲リッチは、資産形成への意識の高さが感じられました。

積極的にコミュニティを広げたい起業家リッチ・世襲リッチ。狭く深い付き合いを重視したいダブルエンジン

上野:人付き合いに関する意識にも、興味深い結果が見られました。
起業家リッチでは「世代やタイプ・業種の違う人と交流することは楽しい」「価値観や社会課題で繋がるコミュニティに参加したい」が高く、コミュニティにより得られる価値を重視している様子です。世襲リッチでは「同級生など昔からのコミュニティを大切にしたい」が高い一方、「新しい出会いを求めたい」気持ちも高く、積極的。一方、ダブルエンジンは約半数が「心から信用できる友人とだけ付き合えばよい」を選んでおり、狭く深い付き合いを重視しているようです。

佐々木:これは後でお話しする、生き方への考えにも繋がる部分が多い結果だったねと話していました。

落ち着いた環境を求める世襲リッチ。都心志向が根強いダブルエンジン。日本・世界を視野に入れている起業家リッチ

大塚:住まいについては、起業家リッチでは「新築物件にこだわりたい」が低い傾向が見られました。一方、世襲リッチ層では「マンションより戸建」「新築物件にこだわりたい」、ダブルエンジン層では「低層マンションの方が魅力」が高くカテゴリー毎で住まいに求めているものの違いが見られました。

また、不動産取得検討エリアについては、ダブルエンジン層では「東京(山手線内)」が72.6%と突出して高く、都心の利便性の高いエリアを重視。世襲リッチ層では「東京(その他エリア)」が最も高く、都心から離れた落ち着いた環境や、別荘なども含まれていると考えられます。起業家リッチ層では「京都」「アジア圏」など東京外のエリアも比較的高く、不動産投資を幅広く検討しているように感じられました。

佐々木:ダブルエンジンの「低層マンションが魅力的」というのは意外な結果でした。これは、子育てをしている層も多くいることが影響していると考えています。そして、不動産取得検討エリアは現在の居住エリアの志向性ともつながっているように見受けられます。

チャレンジしたい起業家リッチ。自分の周辺に貢献したい世襲リッチ。安定したいダブルエンジン

上野:生き方への考え方は先ほど触れた、人付き合いに関する意識と連動性が見られるように感じました。

大塚:起業家リッチ層は、「常に新しいことにチャレンジしたい」「常に先を切り開いていく刺激的な人生を歩みたい」が高い。世襲リッチ層は、「環境に配慮した生活を送りたい」「積極的に世の中や社会に貢献したい」が高く、ダブルエンジン層は、「穏やかで安定した人生を送りたい」が高い一方で、「常に新しいことにチャレンジしたい」が低く、リスクをとらず現状を維持したいという意識がうかがえる結果となりました。

5〜10年と近未来でバックキャスティングする起業家リッチ。10年先まで長期スパンでバックキャスティングしている世襲リッチ。

佐々木:将来の見通しは、起業家リッチ層は5年先~10年先と近い未来のイメージしている人が多い傾向にありました。一方で世襲リッチ層では10年先、ダブルエンジンでは20年先と、先の未来まで見据えている印象でした。ただし、ダブルエンジンでは「全くイメージできていない」という回答も20.2%と高く、スタートアップや世襲リッチに比べて将来の変化に不安を抱いている層も一定数存在すると捉えることが出来ると考えています。

そして、どんな見通しかを見てみると、起業家リッチ層では「人生のストーリーは決まっていないが何とかなると思っている」が高く「このままの状態を維持したい」は低く、変化に対してポジティブな印象。世襲リッチでは「今以上に収入や資産を増やしたい」「今の仕事を10年後も続けている」など資産に対しては貪欲な印象。ダブルエンジンでは「10年後には仕事や業種が変わっているかもしれない」「10年後の将来は想像つかない」が比較的高い傾向が見られました。

現在の生活への満足が非常に高い起業家リッチ・世襲リッチ・ダブルエンジン

上野:現在の生活への満足度は3つのカテゴリーともに高い結果になりました。
ただ、収入面の満足度になるとダブルエンジンは満足度が高いものの、起業家リッチ・世襲リッチはもっと伸ばしていきたいという貪欲な意識が見られました。

佐々木:起業家リッチはもっと事業を伸ばしたい。世襲リッチは親から引き継いだものをさらに伸ばしたいと考えているのでしょうね。人付き合い・生き方などの考え方と通じていると言えます。

一同:本日は3つのカテゴリーの違いを中心にお話させて頂きましたが、3つのカテゴリーが共通している部分などを含め色々な意識を調査していますので、あらためてご案内できるよう機会があればと思っています。


<研究メンバー>左から、
●大塚 輝久|データドリブンマーケティング局 都市生活マーケティングルーム/担当部長/マーケティングディレクター
●上野 涼|データドリブンマーケティング局 都市生活マーケティングルーム/ストラテジックプランナー
●佐々木 崇秀|データドリブンマーケティング局 都市生活マーケティングルーム/ルーム長/シニアマーケティングディレクター

データドリブンマーケティング局 都市生活マーケティングルームは、首都圏の高額マンション・タワーマンション事業や大規模街づくりプロジェクトのマーケティングからコミュニケーション戦略立案。その他業種の高級商材のコミュニケーション戦略からプロモーション・プランニングなど広い業務を実施しているセクションです。