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これからの「オフ時間」はこう変わる~東阪2,000人調査から見えてきた娯楽レジャー新境地~

2022.02.16

コロナを経て、娯楽レジャーの形・期待感は大きく変わってきている

新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認されてから、すでに2年あまり。
その影響は広範囲に及び、特に娯楽レジャーに関するインパクトは多大なものがありました。海外や国内旅行、外食や飲み会など、これまで“王道”であった娯楽レジャーが思うように出来なくなったなか、生活者はどのように「オフ時間」を過ごしているのでしょうか。

都市生活者の行動や意識に関する新たな兆しを発見し、未来への変化を分析する生活者フォーサイト研究ルームでは、コロナ禍2年を経た娯楽レジャーの最新傾向を明らかにすべく定量調査を実施(東阪2,000人を対象)、その結果をレポートにまとめました。その内容をルーム長の小島正子が解説します。

週の半ばで休みたい「水曜オフ派」が台頭

──娯楽レジャーの変化を端的にうかがわせる、とても興味深い調査結果が出たそうですね。

小島:「週1日休むなら、何曜日?」と尋ねた調査結果のことですね。これまでは「月曜か金曜を休み、週末とあわせて3連休にする」というのが、勤労者の一般的な休み方だったと思うのですが、今回の調査で尋ねたところ、希望トップは「水曜日」でした(図1)。実はSNSなどでは以前から、「週末に加えて水曜日を休むことで、週7日すべての曜日で『昨日休んだからがんばろう!明日休みだからがんばろう!』という状態を作れる」と話題にはなっていたのですが、一般の都市生活者を対象とした定量調査でもハッキリと「水曜派」の台頭がうかがえるとは、研究員みんなで驚き盛り上がりました。

図1)「週1日休むなら、何曜日?」(有職者のみ回答)

──どこか1日休むなら「水曜日がトップ」。それは非常に面白い調査結果ですね。

小島:さきほどお見せした調査結果は「どこか休むなら?(単発休み)」という質問でしたが、この1-2年で「週休3日制」の導入を実施・検討している企業が増えてきていることを踏まえ、「週休3日になるなら、何曜日を休みたいか」という質問もしてみました。この質問でも、「水曜」は平日の休暇人気トップで、週休3日の一番人気は「水・土・日」というパターンであることが分かりました(図2)。

図2)「週休3日になるなら、何曜日を休みたいか」(有職者のみ回答)

これまで娯楽レジャーとは認識されにくかったものが「娯楽レジャー化」している

──かつて3連休で「どこ行こうか」と盛り上がったのが、もはや懐かしい気がします。こうなってくると、週半ばでオフを取るなかで、生活者は何を娯楽レジャーとして楽しむようになっているのか、気になります。

小島:コロナ以降、「趣味レジャー、日常のなかでの楽しみ」として行っている(行った)ことを聞いてみました。コロナ前にやっていたことも併せて聞き取り、bofore―afterの前後比較(%)ランキングでまとめたのが、こちらです(図3)。

オンラインライブやサブスク契約などは事前に想定していた通りの結果でしたが、「片付け・フリマ」のような“新顔”がオフの楽しみ方として浮上しているのが、目を引きます。

図3)コロナ以降、活動率があがったアクティビティ(全サンプル対象)

小島:フリーアンサーでも「趣味レジャー、日常のなかでの楽しみ」として行っている(行った)ことについて聞いているのですが、こちらも“新顔”感があります。例えば、「投資」「勉強やテーマ探究」「美容」などは、わかりやすい事例です(図4)。

図4)趣味レジャー「何をしていたか?」フリーアンサーより抜粋

小島:データやフリーアンサーを俯瞰して眺めていると、これまで娯楽レジャーとは認識されにくかったものが「娯楽レジャー化」しているという印象を受けます。今回の調査では、「工夫次第でコロナ禍でも楽しみは作れると感じる」と回答した人が7割以上にのぼりました。生活者はいま、「身近な生活行動のなかに、日々を充実させる要素を改めて見いだしている」とも言えるのではないでしょうか。

「集中・没入」「ひとりの時間を楽しむ」「自分を大事にする」など娯楽レジャーに、新たな領域が登場

──「オフの時間」が様変わりしている印象を受けます。「オフ」と言えば、仕事のストレスを発散したりワイワイ仲間と楽しんだりといった「発散」、あるいは「休息」といったイメージが強かったのですが、そうした「レジャーの役割・レジャーにおける期待感」にも変化が起きていそうですね。

小島:コロナ以降、娯楽レジャーに対してあがった期待価値を、コロナ前・後の比較(%)でランキングにしてみました(図5)。

図5)コロナ以降、趣味レジャーに対してあがった期待価値(全サンプル対象)

小島:特徴的なのは「集中・没入する」「自分を大事にする」「ひとりの時間を楽しむ」など、【自分と向き合う】ことに意識が向いている様子が読み取れることです。

──娯楽レジャーと言われて思い浮かべる王道・定番の効果や価値とは、かなり変化している印象を受けます。

小島:実際、コロナ以降、ひとりでじっくり読書に集中できるカフェや、イエナカでいえば風呂空間を利用してじっくりと読書に向き合うための防水仕様の本など、「一人時間や自分と向き合う」ための商品やサービスが注目を集めていたりするようです。

また、コロナ以降の娯楽レジャーに対する志向を質問したところ(図6)、「王道・定番レジャー」よりも「ささやかな楽しみをたくさん作りたい」「新しいことを楽しみとして感じるようになった」などのスコアの方が高い結果も出ており、ここまでのデータ同様、娯楽レジャーに対する生活者のマインドや意向が大きく変化している様子を感じさせます。

図6)コロナ以降の娯楽レジャーに対する志向(全サンプル対象)

──オフの時間の過ごし方や、そこで得られる期待や体験価値が生活者のなかで大きく変化していることがよくわかりました。

小島:コロナを経て、娯楽レジャーの定義自体が生活者のなかで変わりつつあるのだと思います。「今後お金をかけたい趣味レジャー、日常のなかでの楽しみ」についても聞いているのですが、「スキルを磨く・チャレンジや挑戦をする」といった自己成長効果、「社会の役に立つ・誰かの喜ぶ顔を見る」といった周囲や社会への貢献意識が高まっているという結果が出ています。

今回の調査は、生活者にとって趣味レジャーが、一時的・短期的な幸せだけではなく、持続する幸せ=いわゆるウェルビーイングという視点までを包括するようになってきている、そんな兆しを感じさせる結果だったと私たちは捉えています。

──ウェルビーイング視点で娯楽レジャーを捉え直してみると、冒頭の「水曜休みニーズ」の背景理解が、より深まりますね。

小島:単純に「週半ばでいったん一息入れたい」というだけではなく、「もっと自分の日常の質や幸福感を向上させたい」ということにも生活者の意識が向きはじめているのかもしれません。そして娯楽レジャーが その手段になりつつあるように思います。

調査結果レポートには、ここに挙げた以外のデータも多く載せています。ぜひ全編を通してご覧いただき、新たなマーケットを掴むヒントにしていただきたいと考えています。

調査結果レポートの詳細につきましては、以下よりお問い合せください。

小島 正子

都市生活研究所 生活者フォーサイト研究ルーム ルーム長

2005年読売広告社入社。ストラテジックプランニング局やR&D局を経て、現在は生活者研究を主務とする。プランナーとしては、食品・飲料メーカーを中心に担当。この数年は生活者研究のほか、リクルート活動支援のためのオリジナルプロジェクトも主導しており、新卒学生採用のための企業コミュニケーション戦略にも詳しい。