YOMIKO STORIES
2025.06.27
日本広告業協会 会報誌『JAAA REPORTS』2024年度の表紙を担当したアートディレクターが語る、わたしらしい「アートディレクター」の現在地
一般社団法人 日本広告業協会(JAAA)が、広告ビジネスの最新動向やトピックスを紹介する会報誌として発行している『JAAA REPORTS』。昭和32年(1957年)11月から発行され、毎号さまざまなテーマの特集や、今知っておくべき広告業界の知識が紹介されています。2024年4月号~2025年3月号はYOMIKOが表紙を担当。そのアートディレクションを務めたブランドアクティベーションセンター 金 燦さんと統合クリエイティブセンター 中村 満里奈さんに、表紙制作の舞台裏や仕事への思いを語ってもらいました。
つくり手の思いを込めた、「ギフト」という通年テーマ
─ 『JAAA REPORTS』の、2024年度の表紙テーマは「ギフト」。お二人が提案して採用されたそうですね。どんな思いを込めたのでしょうか?
中村:私たちつくり手は常に、誰かの心に残るものをつくれたらという思いを持っています。
それだけに、試行錯誤の上、できあがった企画をプレゼンするときは、クライアントにプレゼントを渡しているような感覚があります。おそらくそういうマインドは広告に携わる全ての人に共通すると思い、「ギフト」というテーマをご提案しました。
─ 同誌は月刊発行です。毎月、制作はどのように進めていましたか? 役割分担などを教えてください。
金:表紙デザインは各月の特集を踏まえて企画していたので、特集テーマをお知らせいただいたら2人でブレストして、一緒にデザインのコンセプトや表現を決めました。そこから、デザインの具体化やデザイン作業、色校正などの制作進行は月ごとに交代で行いました。
─ 一見すると「なぜこれがギフト?」と思うデザインもあったので、表紙をめくって目次ページに書かれている“今月のデザインの意図”の解説を読むのが楽しみでした。
金:ありがとうございます。
テーマに対して思いついたことを2人で雑談的に広げていったのですが、正直、アイデア出しは毎回難しかったです。
中村:でも、2人でブレストして、自分では思いつかない発想やアイデアをもらえたので、私はすごく助けられました!
金:それは私もそう!1人だったら煮詰まっていたんじゃないかと思います(笑)
印象に残っている表紙は「韓国料理」と「ネコ」
─ 金さんは、ご自分が制作を担当したほとんどの表紙でイラストも描いたそうですね。担当した中で印象に残っている作品を教えてください。
金:韓国料理のイラストを描いた2024年6月号(No.840)です。
この号は「もはやブームではない ~日本に韓流が根付いた背景とその魅力~」という特集だったので、日本と韓国に共通する文化を考えてみました。それで浮かんできたのが、韓国料理を食べに行った際に、最初におかず(バンチャン)がたくさん出てくることの嬉しさです。
さまざまなおかずを出すことで、お客様が飽きずに、好きな料理をたらふく食べられるようにしているあの文化は、日本の“おもてなし文化”にも通じるものがあり、「ギフト」というテーマにうまく落とし込めたのではないかと思っています。カラフルな料理のイラストを描いている時間もすごく楽しかったです。
中村:私も、金さんが制作を担当した中ではその表紙が一番好きです。韓国料理がグラフィカルに表現されていて、トーンが可愛くて。金さんは絵がとてもお上手です。
(左:表紙、右:裏表紙)
─ 中村さんは、ご自分が担当した中ではどれが印象に残っていますか?
中村:「広告を見ないことに課金する時代の広告のあり方」という特集が組まれた2024年10月号(No.844)です。
広告が邪魔、不快と思われがちな現状について考える内容だったのですが、「それでも、ネコのCMってつい見ちゃいません?」という思いがあり、ネコに登場してもらいました。モデルになってくれたのは社員の飼いネコちゃんです。撮影では、食事や歩いているところなど色々なシーンを撮りました。めちゃくちゃかわいくて癒やされました……。
金:私も中村さんが担当した中で一番好きな表紙です。 「もふもふ~にゃあ~」というイメージから少し離れたネコの表情がいいですよね(笑)。
中村:そうですね(笑)。つくり込んでいない自然な表情の方が好感を持たれるかなと思い、この写真を選びました。
(左:表紙、右:裏表紙)
─ 1年間の表紙制作を振り返り、感想を聞かせてください。
金:通常、広告の制作チームの中では、アートディレクターは自分1人だけなので、同じ職種の中村さんと組むことで、いつもと違う刺激をもらえて楽しかったです!また、クリエイティブの自由度が高く、生成AIを使ったり、表紙と背表紙に違いを持たせたり、実験的な切り口や見せ方にチャレンジさせてもらえたことも貴重な経験になりました。
中村:私は金さんとブレストして考えを伝えたり、気持ちを共有したりといったこと自体が新鮮でしたね。企画のつくり方も、とても勉強になりました。
『JAAA REPORTS』 2024年度の表紙を一挙ご紹介!