YOMIKO NOW
2026.08.12
意思を、そのまま現実にする「サードリアリティ」動画を公開 〜 YOMIKOが挑んだプロ×AIの映像制作プロジェクト ~
AIがもたらす変革の波を、いかに乗りこなすか。多くの企業が抱えるこの問いに、YOMIKOは「サードリアリティ」という新たなコンセプトで挑みます。本記事では、生成AIをフル活用して制作した動画、「サードリアリティの世界観」を公開。プロジェクトに携わったYOMIKO デジタルコンサルティングセンター 立田真一郎、木村朋子、読広クリエイティブスタジオ 三井剛、川端綾、菊地佑介が、コンセプトの真意とAIを活用した制作プロセスの裏側について語りました。
デジタルとリアルを融合し、「やりたい」と「できる」の距離を縮める「サードリアリティ」の世界
―「サードリアリティ」という概念と今回のプロジェクトのきっかけについて教えてください。
立田:いまはAIエージェントを使えば、1人で何でもできる時代です。メールもAIが書きますし、経理もAIがこなすので、会社経営も可能でしょう。かつては「こういうことをやりたい」と思っても、”やりたい”と”できる”の間には大きな距離がありました。その距離が、AIによって急速に縮まっています。
そこでサードリアリティという概念についてです。第1のリアリティが、やりたいことをやるために物理的な場所や時間、お金がかかる「現実=リアル」、第2のリアリティは速くて自由だけれど現実世界とは若干隔たりがある「デジタル」、これに加えて最近登場しているのが第3のリアリティ、すなわちサードリアリティと呼ばれるものです。
「サードリアリティ」は、メタバースのような仮想現実とも、単なる現実の延長とも異なる、AIによって拡張された「もう一つの現実」です。
例えば、これまで企画書や口頭でしか伝えられなかった新規事業のアイデアを、生成AIを用いて即座にハイクオリティなサービスデモや紹介動画として具現化し、そのまま投資家へのプレゼンや顧客への提案に活用する。このように、頭の中のアイデアが時間やコストの壁を越えて、瞬時にビジネスの現場で『現実』になる世界。それこそが、私たちが目指すサードリアリティの姿です。
立田 真一郎(YOMIKO デジタルコンサルティングセンター)
― 今回のプロジェクトは、どんな問題意識から立ち上がったのでしょうか。
木村:はじまりは、競合他社も含めてみんながAIをやり始めているなかで、「YOMIKOとして、この状況をどう捉えているのかというメッセージを出せたらいいよね」というところでした。加えて、YOMIKOクリエイティブスタジオのメンバーがAIスキルを高めてくれていたので、そのケイパビリティも一緒に示せれば一石二鳥だと考えたのです。そこでこの新しい現実の形を『サードリアリティ』という概念で捉え、YOMIKOとしてのメッセージを出すことにしました。
こうして、頭の中にあった「サードリアリティ」という概念を企画会議で共有し、クリエイターが実際にそれを動画として形にしていくという工程が立ち上がりました。考えてみると、このプロセス自体がまさにサードリアリティ的だったと思います。
木村 朋子(YOMIKO デジタルコンサルティングセンター)
100点中の70点をAIが作り、プロが120点へと引き上げる
― AIの登場によって、広告主の課題やビジネススピードはどのように変化しましたか。
立田:あらゆる企業でAIやAIエージェントの活用が始まっていますが、技術的な制約もあって、頭の中を100点とすると、現実に現れてくるのは70点くらいでしょう。そこに歯がゆさを感じている方は多いはずです。
ただ、実社会や実事業に影響するのであれば、70点は看過できない。むしろ他社と比べて120点でなければならない水準もあるはずです。これまで広く物事を見渡してきたプロが、その70点をいかに引き上げていけるのか。それこそが私たちに求められていることです。
今回のプロジェクトも、意思さえしっかりあれば”やりたい”と”できる”は限りなく近づくという、変化の断面を示す取り組みでした。
木村:得意先が、我々広告会社へのオリエンテーションの段階で「こういうイメージのものを作りたい」というアイディアをAIで形にされています。以前はテキストと予算で伝えていたものが、いまや頭の中のイメージを絵にしている。思ったことをすぐ形にするのが、当たり前になりつつあります。
これはクリエイティブに限りません。ビジネス課題に対しても、AIを使える人は「たとえばこういうことですか」とすぐ形にして見せられる。それを見たお客さまが「自分が思っていたのはこれだ」と、想像を超えていく。
昔なら「こういうのがあったらいいな」と思っても、形にできず、説明できないまま実現に至らなかった企画がたくさんあったはずです。それがいまは、AIと一緒に壁打ちしてビジュアル化もできる。かつてなら潰れていたアイデアを、意思決定の場に出せるチャンスが広がった。考えたことを形にでき、そのまま動き出すところまでいける——ここがこのコンセプトの本当に使えるところだと感じています。
「AIっぽさ」を超えて意思を宿す ── 表現の裏にあるプロの眼光とこだわり
― 菊地さん、川端さんは、コンセプトから成果物まで、どんな問題意識で臨みましたか。
菊地:一番難しかったのは、サードリアリティは実在しないものなのに、実現させたいものだという点です。実在しないけれど、”実現した気にさせる”。この表現が本当に難しくて。どんなモチーフを使うのか、どんな世界観なのか、議論を重ねながら「これだ」という形にたどり着くまでにかなり時間がかかりました。経営者の頭の中を映像として立ち上げていく、その過程そのものが大変でした。
菊地 佑介(YOMIKOクリエイティブスタジオ )
川端:「サードリアリティ」という言葉と、「意思を形にする」というテーマ。経営者が頭の中で考えていることを、実際に実現させられると思ってもらうには、どうすればいいか。そこがゴールでした。しかも今回はAIがテーマなので、いまのAIで表現できることと苦手なことを踏まえ、AIで表現できる範囲の中で、最もふさわしいのはどれかを考えなくてはなりません。そうしたことを、菊地とともに色々と探りながら、動画を作り上げていきました。
― 動画制作に当たってこだわった点を教えてください。
川端:AIで作ったこと自体は感じてもらってもいい。でも「AIっぽさ」だけで受け取られては意味がない。裏を返せば、「AIで作ったんだな」という読後感だけで終わるのは避けたいと思いました。そこで終わってしまうと、サードリアリティの概念が伝わりません。だからこそ、「このシーンで何を伝えたいのか」を起点に、それに合う表現はどこかをずっと探していました。
川端 綾(YOMIKOクリエイティブスタジオ)
菊地:作り手としては、「これ、AIで作ったの?」という驚きは、やっぱり欲しいんです。この質感、このトーン、この光の感じ、この陰影——これがAIなの、と。そこを意識してこだわると、”AIなんだね”だけでは終わらない仕上がりになります。技術的にまだ足りない部分はあっても、目指すところは間違いなくそこでした。作り手のこだわりとして、いいクリエイティブはそこを目指せるものだと思っています。
三井:川端さんも菊地さんも、映像制作のプロとして「伝えたいことに対してどんな映像・ビジュアルが最適なのか」を常に考えています。だからゴールのイメージを、無意識に持てるという強みがあります。具体的なイメージを持った状態で生成AIを使うのと、AIが出力したものを見て「うん、いいね」と評価するのとは、まったく違うのです。
2人は生成物に対して「ここが足りない」「ここが違う」と即座に判断でき、それをプロンプトとして指示できる力があります。先ほど立田さんから「AIが生成するものは70点」という話がありましたが、2人のようなプロがその知見を持ってイメージし、生成AIを活用して制作するからこそ、120点に引き上げることができるんです。「自分が伝えるべきイメージはこういう光じゃない、こういうアングルじゃない」というのを、無意識に判断できる。それがプロの力だと思います。
三井 剛(YOMIKOクリエイティブスタジオ)
生成した成果物は約500点、プロのクオリティを引き上げる試行錯誤の日々
― どのようなプロセスで制作したのでしょうか。
菊地:ひたすらトライ&エラーの繰り返しです。動画の作り方にはいくつかパターンがありますが、私たちが選んだのは、まず主となる絵を1枚作り、それを起点に動かしていくという方法でした。最近は皆さんこのやり方だと思いますが、その起点になる1枚を、どれだけクオリティ高く作れるか。ここは徹底して意識しました。
そこからカメラアングルをどうするか、レンズはどうか、と1つずつイメージしながら詰めていきました。作っている最中に、自分たちでもうまくイメージが湧かないこともあるので、そのつど色々と試しながら、具体的に形にしていきました。まさに、クリエイターがイメージしているものを、AIでより具体的な形に落としていく作業ですね。
川端:かかった時間は全部で何百時間という規模だと思います。会社で契約しているツールは、とりあえず全部使いました。一度すべて出してみて、その中から自分のイメージに一番近いものをとにかく拾って、整理する。それをひたすら繰り返していきました。
菊地:制作全体で、500点近くは生成したと思います。その中から「これはちょっと違うな」「これはいいな」と1枚ずつ選り分けていく。地道の一言に尽きる作業ですが、そこで粘れるかどうか、どこで納得するかがクオリティを分けると思います。
木村:世の中にあふれている「私でも一発でできた」というものは、いわば”なんとなくのオーダー”であることが多いです。「すごいものが生成できると良いな」くらいの気持ちでAIに投げてもそれなりのアウトプットを生成してくれます。今回は、抽象度は高いけれど伝えたいことははっきりしていて、それを言い当てる絵を探しに行く。ハードルは非常に高かったはずです。そのこだわりがあるかないかが、素人とプロの違いですし、それがそのままクオリティに直結していました。
― 立田さんは、制作途中の映像をどのタイミングで見ていたのですか。
立田:途中途中で「こんな感じです」と見せてもらっていました。撮影を挟まないので、「ロケが終わるまで見られない」ということはありません。考えている段階で「こんな感じかな」というものが出てきて、それを見て議論していきました。チームの間で、同じ認識・同じ目線でものを見て意思決定できるので、進め方そのものが変わってきていると感じます。
コンセプトを考えた側の頭の解像度は、どうしても低いんです。「こういう感じかな」という曖昧な状態から、提案を受け、実際に絵が動いているのを見て「すごくいい」となる。そういう発見のために打ち合わせがある、という感覚でした。
誰でも70点、そこから先――「クリエイティブの民主化」を超えるには
― 生成AI時代、クリエイティブのプロならではの価値についてどのように捉えていますか。
菊地:あるクリエイターが、生成AIを使ったクリエイティブ制作について「クリエイティブの民主化」という言葉を述べています。確かに生成AIを使えば、誰でも70点のものは作れます。誰がプロンプトを作るかも大きいのですが、そこから先、どう100点にして、さらに120点に引き上げていくかがやはり大きな違いだと考えています。
ディレクターがプロンプトを通すときは、トーンはもちろん、カメラのレンズのミリ数まで入れて作ります。普通はそこまでできません。そうやって点数を上げていく方法は、AIと非常に相性がいいと思います。
― 制作プロセスにおいてAIはどのようなインパクトをもたらしましたか。
菊地:初速のスピードですね。さらに、これまで膨大な時間をかけていたリサーチやリファレンス収集※が、かなり簡易化されました。その分、別のことに時間をかけられます。生成AIが70点のアイデアを出してくれるなら、私たちはその先のクオリティの追求に時間を割くといったように、時間のかけ方が変わりました。
※リファレンス収集:デザインや映像制作において、アイデア作りの参考となる資料や作品を集める作業のこと。
川端:AIは架空の世界を作るのが得意なので、そうした表現では非常に強力な存在になります。キャラクターやIPもみんなが自分の手で作りやすくなりましたし、そこがすごく大事な部分だったと改めて感じました。
ただ一方で、初速がただ一方で、初速が速くなった分、世の中の流行り廃りも速くなるのだろうなと感じています。
そうならないために、じゃあ私たちは何をオリジナルにするのか——ここを突き詰めることが、これからすごく大事になると思っています。
今回でいえば、サードリアリティを”どの場所に置くか”に焦点を置きました。仮想だけれど実現できると伝えたいから、なるべくリアルな世界に近いところに存在してほしい。でもサードリアリティだから、リアルそのものではない。その微妙な揺らぎを、最後までずっと探り続けました。オリジナルであるとは、そういう細部を自分たちで決めきることだと思います。
鋭い「問い」と粘り強い「アプローチ」がAIの真価を引き出す
― プロジェクト成功のポイントを、ひとことずつお願いします。
木村:AIは、すべての人が持っている同じ武器のようなものです。だからこそ、そこにどんな問いを立て、どんなアイデアを入れるかが大事です。凡庸な問いからは、凡庸な答えしか出てきません。今回は「サードリアリティ」というアイデアが生まれ、そこから具体的に何をどう伝えるかという合意形成プロセスを非常に丁寧におこないました。そこで認識が固まっていたので、あとは川端さん、菊地さんのプロフェッショナリズムでAIと共に作り込んでいき、方向性の変更もなくスムーズに進みました。
三井:YOMIKOグループとしてAIにどう向き合うべきか、YOMIKOらしさとは何かを、みんなが主体的に、ポジティブに考えて形にしてくれた。クライアントワークとは真逆で、自分たちのあるべき姿を作れる——そのポジティブさが、今回の成功要因だと思います。
立田:頭の中にある意思の解像度を、どれだけ高く持てるか。そして、現実と接着することを考えたときのベストな状態は何かにこだわること。サードリアリティで掲げたコンセプトと、そこで大事にすべきことを、制作過程を通じて自分たちも実践し、チャレンジしたことが大きかったと思います。
川端:一番最初の、イメージの接着点をちゃんと固める。そこを慎重にやって、お互いに「こうなんだろうな」と思い描いたうえで、次の制作に進んでいきました。改めて、そこがすごく大事なんだと感じました。
菊地:言い方を変えると、AIを使ったことが一番大きな要因でした。初速アップも、イメージ共有のスピードアップも、高いレベルでゴールを共有できたことも、AIを一緒に駆使した結果、解像度が高くなったからと思います。あとは、どれだけ粘れるか、どこで納得するか。その先にあるものだと思います。
― 今後の展望をお聞かせください。
三井:いまはみんながAIを使っている。だからこそ、まずはちゃんと発信することかなと。今回のコンテンツも、きっと興味を持ってくださるクライアントや営業が出てくるきっかけになる。そこを起点に、少しずつ形にして、仕事を膨らませていきたいと思っています。
立田:AIは100点満点のうち「70点」の土台を瞬時に作ってくれますが、そこからプロフェッショナルの手で「120点」に引き上げるプロセスこそが、これからのクリエイティブの真髄であり、YOMIKOの提供価値だと信じています。
「生成AIをビジネスに導入したいが、何から始めればいいかわからない」「AIツールを使ってみたものの、出力された成果物のクオリティに満足できない」といった課題をお持ちの企業様は、ぜひ一度YOMIKOにご相談ください。皆様の頭の中にあるビジョンを、私たちが120%の形にして社会に届けます。
シーンからシーンへと移り変わるなめらかさ、アイデアが形になって現実化するスピード感、世界が変わっていく驚きを表現。映像制作のプロと生成AIがタッグを組んで生まれた動画です。
(右から)
YOMIKO デジタルコンサルティングセンター 立田 真一郎
YOMIKOクリエイティブスタジオ 菊地 佑介
YOMIKOクリエイティブスタジオ 川端 綾
YOMIKOクリエイティブスタジオ 三井 剛
YOMIKO デジタルコンサルティングセンター 木村 朋子